松本 そうなんですよ。言い方は悪いんですけど、ありがちなものになってしまうなって思って。石川慶監督とも話したんですけど、10人中8人は“悪い人間”と言う人がいても、残り2人は“いい人”って言ってくれる人がいればいい……という感じが出せればと考えていました。

――内面はもちろん、外見も意識した点があるとか?

松本 学生時代のシーンは設定が1999年で、“アムラー(歌手の安室奈美恵のファッションを真似した人)”全盛の時代。シャギーカットっていう当時はやっていたヘアスタイルにして。美容師さんに“久しぶりに(シャギーカットに)切ったわ~”って言われましたよ(笑)。校内のベンチに座る姿も脚をそろえて、お嬢様ってオーラが出ていましたね。

松本 ちょっとした所作にも気をつけていましたね。

――主婦を演じるシーンではセレブ感が出ていました。

松本 毛先を巻いたりして、ニコタマ(二子玉川)のマダムを想定しました(笑)。子どもに対しては、友達みたいに接するお母さんのイメージで演じました。

――そうだったんですね。今回の撮影で印象に残ったことはありますか。

松本 私自身、大学に行ってないので、キャンパスライフっていうのが想像でしかなかったんです。しかも撮影当時32歳の私が、18歳から22歳の役を演じるというのは、すごいプレッシャーがあって。

――というのは?

松本 大学生に見えなかったら、どうしようって(笑)の中では大学生って、きっと箸が転がっただけでも笑うんじゃないかってイメージがあったんです。

――映画の中でもそんなシーンがあったんですか。

松本 教室で夏原が(映画館にあるような)イスに、席が上がった状態で座ろうとして、腰がガクンとなって、夏原とその光景を見た人物が大笑いするシーンがあるんです。たぶん大人だったら「大丈夫?」って声をかけるんでしょうけど、笑っちゃうところが若さっていうか。大学生って子どもと大人の間だから、そんな感じが出せるようにしました。

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