そして最後は、小池旋風の原動力たる都政改革について。鈴木氏は、ここで「5」と最高点をつけた。「知事は今回の予算案で、200億円ともいわれる“政党復活予算”を廃止。これは、本予算から漏れた政策に各政党が予算を要求できるという東京都だけの慣習で、各政党の利権の温床とされてきました。代わりに、歴代都知事の予算案はほぼ100%通過。いわば、知事と都議会はもたれ合ってきた。小池氏はそれをやめ、知事に力を集めようとしているんです」

 いい例が1月25日、初の予算案の中に私立高校の授業料を実質無償化する案を盛り込んだことだ。東京都では、高校も私立の割合が多いため、教育の機会均等の観点もある。しかし、この案は自民党の弱体化にもつながるという。

「従来、教育界は自民党の重要な票田でした。これまで自民党は“授業料が上がらないよう、復活予算で私立校へ補助金を出します”と謳っていましたからね。しかし、知事から無償という満額以上の回答が出たわけで、これが通れば、もう自民党に投票する必要はなくなります」(鈴木氏)

 角谷氏も復活予算の廃止は評価するものの、まだ予算案が通っていないことを理由に「3.5」と渋めの評価。これに対し、パフォーマンス要素が大きいと見る有馬氏は「3」だ。「小池さんは、よく都議会に“ブラックボックスがある”とか“黒いネズミがいる”と言いますが、具体的に名指ししない。もったいぶった言い方をして抵抗勢力を仕立て上げるだけでは、長続きしませんよ」

 では、気になる今後の行方は? 三氏とも、7月の都議選までは小池知事の人気は続き、自民党が議席数減。実質、小池知事の新党「都民ファーストの会」の候補者が躍進するとみる。「ただ、対立構造をぼかすために、自民党が“抱きつき作戦”をしてくると、やや弱いですね。もっとも、そうなれば、小池さんは乾坤一擲、豊洲の白紙撤回に打って出て、また議論を作ると思いますが……」(鈴木氏)

 有馬氏は、「自民党の二階俊博幹事長も、千代田区長選の翌日の6日、“小池ブームは長続きしない”と述べています。これからの反攻に耐えられるかどうかですね」と、状況次第では都議選後、失速の可能性も示唆する。

 だが、角谷氏は、「小池さんは議員時代から、“大義と共感、スピード感”がモットーです。石原氏の追及などに関して手を緩めることがなければ、都民はついてくるでしょう」と、問題を徹底追及する覚悟アリとみているようだ。

 いずれにせよ、改革はまだ道半ば。小池知事には、ぜひ「オール5」を目指して頑張ってもらいたい。

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