侍ジャパン、WBC制覇へ「大谷翔平の穴」を埋める“起死回生の秘策”の画像
侍ジャパン、WBC制覇へ「大谷翔平の穴」を埋める“起死回生の秘策”の画像

 世界が注目する大エースが突然の出場回避。この絶体絶命の危機をどう乗り切るか。8年越しとなる王者の称号奪還の道を探る――。

 WBC本番直前の2月1日、世界中が注目する“侍JAPANのエース”大谷翔平が、右足首捻挫のため、まさかの出場辞退。覇権奪回に暗雲が立ち込めた。

「小久保監督は大谷を先発の柱と考えていましたからね。初戦のキューバ戦をはじめ、重要な試合で長いイニングを投げさせ、場合によっては代打でも起用しようと考えていた大きな戦力が急にいなくなってしまったわけですから、肝を冷やしたと思いますよ」(スポーツ紙デスク)

 ただちに武田翔太(ソフトバンク)を招集した小久保監督だが、正直、大谷の抜けた穴は大きすぎる。根本的な戦略の見直しを考えざるをえなくなった。

「当初、小久保監督が考えていたプランは、投手陣全体を第一先発、第二先発、中継ぎ、抑えに分類し、重要なポイントとなる試合で大谷を中心とした第1先発と、それを引き継ぐ第2先発の投手に、できるだけ長いイニングを投げさせて、ローテーションをやりくりするという方式。大谷にかかる負担は大きいですが、彼の力を最大限に生かそうという意図があったからこそのプランです」(前同)

 ところが大谷の離脱で、このプランは、いったん白紙となった。「菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)、石川歩(ロッテ)、武田の4本柱を先発で固定し、球数制限まで、できるだけ長いイニングを投げてもらうという点は変わりませんが、2番手以降は第二先発の枠組みを外し、リリーフ陣を総動員して小刻みな継投を行う作戦に切り替えたんです」(同)

 WBCには、1次ラウンド65球、2次ラウンド80球、準決勝と決勝は95球という球数制限のルールが投手に課せられるのだが、登板間隔にも制限がある。それは、1次ラウンドの場合、50球未満なら中1日で登板が可能、30球未満なら2連投が可能というもの。つまり、小刻みな継投をすることによって、柔軟な投手起用ができるのだ。

「大谷がいなくなった穴を全員で埋めようという苦肉の策だと思われがちですが、実は、これこそが侍JAPANの個性豊かな投手陣をフル活用できる戦術なんです。まさに怪我の功名ですね」(ベテラン野球記者)

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