今回の招集メンバーには、試合の途中で効果的に登場させれば、相手打者を幻惑して、打ち取ることのできる国際試合向きの投手が数多く在籍しているのだ。その代表格と言えるのが、牧田和久(西武)だろう。地面すれすれの位置から地を這うように放たれるアンダースローの投手。最速137キロのストレートの他、チェンジアップやカーブ、スライダーなどを投げ、フォームに強弱をつけることで相手を翻弄する技術も身につけている。

「牧田の球は“120キロしかなくても140キロは出ているように感じる”と言われています」(前同) メジャーリーグに詳しい評論家の福島良一氏は、次のように言う。「たとえば、アメリカにはスタントンなどの大砲が名を連ねています。終盤の2死満塁といった試合を決める場面で、そういった選手に打順が回ってくる可能性もあるでしょう。そのときこそ、牧田の出番です」

 サイドスローの秋吉亮(ヤクルト)も牧田同様に打ちづらい投手だ。最速149キロのストレートやスライダー、チェンジアップ、シンカーなどを投げるのだが、グラブをはめた左腕を胸元に引き寄せることなく開いて、体の外側へと流す独特のフォームで打者を戸惑わせる。メジャーにはアンダースローやサイドスローの好投手は少ない。日本が国際試合で勝ち上がっていくためには、“強力な武器”となりうる牧田や秋吉のような変速投手をワンポイントで、いつでも使えるようにしておく必要がある。

 クローザーの役割を担うといわれている松井裕樹(楽天)も、左の強打者が出てきたときのワンポイントに使う方法があるという。「左打者は一般的に左投手を苦手としています。特に松井のようなテクニックのある左投手は、メジャーリーガーにも十分通用します。たとえば、左の強打者、ドミニカのカノを抑えるため、松井をワンポイントで投げさせるのも一つの方法です」(前同)

 ちなみに、ドミニカ共和国やプエルトリコのような中南米の強打者を抑えるには、藤浪晋太郎(阪神)を起用するのが効果的だという。「メジャーには長身の投手が多いですよね。これは、そういう選手じゃないと生き残っていけないからです。そう考えると、高い位置から投げ下ろす藤浪の角度のあるストレートやカットボールは効果的です」(同)

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