「トランプ氏が求めるのは“アメリカ・ファースト”という考え方。アメリカにとって何が利益になるのかを、まず第一に考えます。だからといって、アメリカに有利になることばかり提案し、卑屈な態度で交渉に臨んだら逆効果。ビジネスマンでもあるトランプ氏は、互いにとって最善の道を探るのが交渉の場だと考えています。したがって、ただアメリカの言いなりになるだけの交渉相手は嫌がるんです」

 そうしたトランプ大統領の特徴が如実に表れたのが、オーストラリアのターンブル首相との電話会談。「1時間の会談予定が、途中でトランプ大統領が“ブチ切れた”ため、25分で中断されました。背景にあったのはオーストラリアからの難民受け入れ問題です。オバマ政権では、中東や東南アジアから船でオーストラリアに入国しようとして拘束された難民を、アメリカが受け入れることで合意していたんですが……」(前出の国際部記者)

 トランプ大統領は、「次の“ボストン爆弾テロ犯”をアメリカに送るつもりか」と噛みつき、電話を叩き切ったともいわれている。一見、ターンブル首相はトランプ大統領の扱いを誤ったかにも見えるが、実は、これが大正解だったという。

「電話会談の詳細までは伝わっていませんが、ターンブル首相も堂々とトランプ氏に意見を述べたようです。電話を切った後、トランプ氏は周辺の人たちに、“なかなか大した男だ”と、彼を評価していたというんです」(前出のあえば氏)

 続いて、もう一つ取り扱いに注意しておきたいのがトランプ大統領の側近たち。「もちろん、人の言うがままではありませんが、トランプ大統領は、正しい意見なら、しっかりと聞く耳を持っています」(前同)

 将を射んと欲すれば、まず馬を射よの喩え通り、トランプ大統領に多大な影響力を持つ面々を、いかに取り込むかも日米外交の今後を左右する。まず、最も話題に上る側近といえば、愛娘のイヴァンカ・トランプ氏。名門・ペンシルベニア大学を卒業後、父譲りのビジネス手腕で実業家としても成功。メラニア夫人に代わり、ファーストレディの役割を果たすとみられる女性だ。

「11月に安倍首相が大統領就任前のトランプ氏と会談した際にも同席。その際、イヴァンカ氏の5歳になる娘・アラベラちゃんがインスタグラムでピコ太郎の『PPAP』ダンスを披露したことを安倍首相が“かわいいですね”と絶賛し、打ち解けたようです。めったに人を褒めないイヴァンカ氏が“安倍さんにまた会いたい”と話していたといいます」(前出の官邸筋)

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