これまでの“逃げるは恥だが役に立つ”の方針を変えてきた石原氏。ただこれも、小池知事の術中にはまったと見る向きが多い。「都議会の特別委員会は、3月18~20日の間に石原さんの参考人招致を行うと発表しましたが、これを受けて石原さんは一転して自前の記者会見を中止すると発表しました。勢いで自ら会見をブチ上げてはみたものの、すぐに懇意にしている自民党の都議から連絡が入ったといいます。“自前の会見と都議会での証言がチグハグだったら、そこを小池陣営に突かれる”という警告だったようですね」(都庁詰め記者)

 昨年の8月31日に豊洲移転延期を決めた小池知事は、なるべく早い時期に移転の可否や各種対応を決定しなければならない。「そのためには、核心を知る石原さんに話を聞くしか方法がなかったわけです。ただ、それを知ってか石原さんはのらりくらり……。そこで、世論を味方につけて、水面下で都議会に百条委員会の設置を命じ圧力をかけていたんです」(前同)

 百条委員会が設置されれば、偽証したり証拠書類の提出を拒否すると禁固刑を含む罰則が科せられる。「石原さんにしてみれば、“百条委員会が設置されるくらいなら、参考人招致に応じたほうが得策”であることは間違いありません。都議会の参考人招致や小池知事との公開ヒアリングならば、曖昧な発言をしても罪に問われることはないからです」(前同)

 小池知事は周到に誘い水をまいていたのだ。渋る石原氏を引っ張り出したという意味では、豊洲バトルの第1ラウンドは小池知事の勝利といえる。ただ、石原氏とて第2ラウンドには万全の準備で臨むはずだ。

「石原さんは、豊洲問題の責任を側近だった浜渦武生副知事や、当時の都の関連部署の幹部、関係していた都議にも波及させる戦術をとるようです。こうすることで、自分一人が悪者にされている状況を変えようとしているのでしょう。“知っていることも全部話しますよ。困る人が出るかもしれないが、こっちも困っているから”と発言しているのがその証拠です」(民進党都議)

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