これを確認した川内氏は、附則三条がどのように付け加えられたのかを徹底的に追及したという。さらに、「こんな馬鹿な話はないと思い、環境省に掛け合って豊洲を汚染対策法の指定区域にしました」というから、都民、ひいては日本国民の食の安全を守る大ファインセーブをしていたといえるだろう。

「地下水の調査にしても、土壌を入れ替えた部分では汚染物質は基準値以内です。舛添要一前知事の時代は、ここを選んで調査していたのです。ところが、小池知事の命令で無作為にモニタリングを行ったら、基準値を大きく上回る汚染物質が検出されました。私は豊洲の汚染はなくなることはないと思います」(川内氏)

 小池知事もこうした事情はすべて承知しており、手ぐすね引いて石原氏の“出頭”を待っているという。「ただし、対決の舞台に上がる小池知事と石原さんの戦い方は大きく異なります。小池知事が石原さんに責任を一本化して追及したいのに対し、石原さんは責任を拡散させたいわけです。小池陣営は石原氏が都知事時代に“築地にカジノや巨大な多目的ドームを造りたい”と漏らしていたことも把握しています。石原さんがあまりにしどろもどろだった場合、こうしたネタを突き付けて“公開処刑”する可能性もありますね」(前出の都庁詰め記者)

 土対法をめぐる疑惑、法的には問題のない築地市場に対するネガティブ・キャンペーン、さらには築地の再開発をめぐる利権……。こうした状況証拠を眺めてみると、すべては“豊洲移転ありき”で性急に事が進められていた印象が強い。石原氏の反撃が成功する可能性は、限りなく低いのではないか。それでも、窮鼠猫を噛むの秘策があるのだろうか?

「答えは“あるといえばある”です。実は、小池知事が支援に回り当選させた石川千代田区長は、都庁の役人時代に港湾局長を務めていたことがあり、かつては豊洲移転の中枢にいた人物なのです。石原さんは参考人招致で、“石川区長が内田茂都議らと図って、築地の豊洲移転を画策した”と証言するかもしれません。青島幸男さんが知事時代に都市博を中止し、困った都が築地の豊洲移転を進めようとしたのは95年のことですが、当時、港湾局長だったのが石川氏でした。石原さんが“困る人が出てくるぞ”と言ったのは、暗に石川区長のことをほのめかしていたのかもしれませんね」(前同)

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