オイ:ゼルダ文法でいうと、僕は「敵を倒すのに一工夫する」ってが好きなんですよ。これも、もうファミコンの『ゼルダ』からありましたよね。

軽部:はい。そこから後のシリーズにも受け継がれてます。

オイ:敵には何種類かの倒し方がある。真正面からガチで戦う方法と、やり方次第で簡単に倒せるという楽な方法と。

軽部:どの敵にもちゃんと弱点があって、それを探すのが面白いんですよね。特にボスの場合は倒し方自体を探さなきゃいけないですし。

オイ:たとえばドドンゴって、歩くのが遅い。

軽部:ちなみにドドンゴとは『ゼルダの伝説』に登場するボス敵のことです。サイみたいな形をしてます。

オイ:フォローありがとうございます(笑)。そのドドンゴに、最初は剣で斬りかかるんだけど、はじかれちゃう。さて次どうしようかなって思ったときに、これだけ歩くの遅いならバクダン使えるかなって、試しにバクダンを置いてみたら……なんと食べる(笑)。

軽部:はははははは!

オイ:そうやって倒し方を発見するんですよね。

軽部:試行錯誤の末に(笑)。

オイ:ドドンゴには、もっとうまい方法があって、顔の前でバクダンを爆発させると気絶しちゃう。そうすると剣で斬れるようになるんですよ。これはたぶん、バクダンを食べさせ損ねることで発見できるっていう。

軽部:いやほんと、よくできてますよねぇ(笑)。楽な倒し方を見つけられるとうれしいんだよなぁ。敵の倒し方1つで十分奥が深い。

オイ:『ゼルダの伝説』のゲームシステムは、要するに敵を上下左右どこから攻めるか、じゃないですか。

軽部:ナナメの移動や攻撃はないですからね。

オイ:だから、こっちに迫ってくる敵の目線上にいると呪文攻撃が飛んできたりとか、盾を持ってる敵に正面から挑んでも斬れないとか、あるわけです。そんな中で、敵がどっち向いてるとか考えながら、うまくさばいて倒すのが気持ちいいんですよ。

軽部:あぁ、分かります分かります。

オイ:それまでのゲームでは、そんなに上下左右の攻め方なんてこと考えないで戦ってたから。

軽部:ひたすらボタン連打で攻撃して倒しちゃえ、みたいな。

オイ:リンク(※注2)の移動速度って実は結構速いんだけど、その足の速さは素早く攻撃したい方向にキャラを合わせられるようにするためなんじゃないかな、きっと。

軽部:あーなるほど。ちゃんとタテヨコ合わせて攻撃できるように。

オイ:そう。だからマップ上にもタテヨコの軸を分かりやすくするパーツがいっぱい置いてあるじゃないですか。草が規則的に生えていたりとか。

軽部:ダンジョンの四角いタイルもそうですね。

オイ:あれは、敵と自分の位置関係や距離感を把握しやすくするためなんだと思うんですよね。

軽部:あー確かにそうかもしれない。

オイ:敵にはリンクより素早いのもいるし、圧倒的に遅いのもいるから、当然それぞれで対応策が変わってくる。遅くて硬いヤツは素早く動き回って攻撃とか、速いヤツには止まってブーメランや弓を使うとか。

軽部:単純なアクションに戦略性が出てくる。

オイ:『ゼルダ』を遊んでるときって、いつもどう対応しようって考えてやってません?

軽部:うん、何かしら常に考えてますね。最善の戦い方はなんだろうって。

オイ:新しい敵が出てきて変な動きをしたら、「コイツにはどう対抗するのがベストなのかな」って考えちゃいますよね。ただ倒すだけじゃ満足しない(笑)。

軽部;そうそう。無策で倒すとやり直したくなる(笑)。絶対何かしら弱点や対応策があるから。それをあれこれ模索しながら試していく。それもまた楽しいんですよね。

オイ:一工夫を見つける幸せ、ですね。

<注釈>
※注2:リンクとは、プレイヤーが操作する『ゼルダの伝説』の主人公のこと。ちなみに、ゼルダとはお姫様の名前。

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