今年最初のクラシック桜花賞が近づいてきた。そのトライアル「チューリップ賞」が今週の土曜日に阪神競馬場で行われる。本題に入る前に、まず3歳牝馬を簡単に総括すると、桜候補の筆頭は暮れのG1阪神JFを制したソウルスターリング。次いで2着のリスグラシュー。この2頭が一歩リードする。

 これを追うのが、牡馬の朝日杯FSに出走したミスエルテとなるが、年明けからの競馬で、脅かす存在も現れている。1頭目は2月のクイーンCを制したアドマイヤミヤビ。オークス向きと見られていたが、マイル戦もOKの切れを発揮した。2頭目は京都・つばき賞を勝ったファンディーナだ。これでデビュー2連勝。510キロ台の大型牝馬だが、ディープ産駒らしい切れ味も備えており、本番で台風の目になる可能性もある。

 さて、そんな中、行われるチューリップ賞だが、前記した“2強”の一騎打ちが極めて濃厚だ。ただし、順位が変わるケースは考えられる。暮れの阪神JFは1枠2番と枠順にも恵まれたソウルスターリングがコースロスのない競馬で優勝。対してリスグラシューは大外18番スタートで、タイミング悪く出遅れた。勝負所でも大外回りとロスが大きい競馬で、この間の差は相当にあったと推察できる。

 それでいて直線で猛追。コンマ2秒差まで詰め寄ってきた。上がり3Fは34秒5で勝ち馬をコンマ3秒上回る最速だ。今回はG3アルテミスSでコンビを組んだ武豊への乗り替わり。一息入れてリフレッシュされ、ここへの調整も順調だ。逆転の目は残されている。

 さて、日曜日も重要な前哨戦がある。中山の弥生賞は皐月賞のトライアル戦だ。牡馬のクラシック戦線は2歳チャンプのサトノアレスに、暮れのホープフルSを制したレイデオロ。さらに2月の共同通信杯を勝ったスワーヴリチャードも有力候補に浮上しているが、弥生賞にも候補馬がいる。デビュー2連勝のダイワキャグニーの名前も挙げておきたいが、関西馬のカデナも相当な器だ。

 460キロ前後の馬体重だが、使い減りしない体質の強さがあり、切れ味で勝負する正統派のディープ産駒だ。実際、デビュー4戦はすべて最速上がりをマークした。4戦[2・2・0・0]と2度2着に敗れているが、いずれも直線で前詰まりになったのが敗因。前走の京都2歳Sでは初重賞も飾った。レース2週前時点で4本の坂路調教をこなし、着々と態勢も整っている。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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