だが、慎重な意見もある。金正男氏とマカオや日本で交遊し、半島事情にも詳しい在日事業家のM氏は次のように語る。「北朝鮮は、中東などの比ではないほど閉鎖的な管理社会。特殊部隊が北に潜入すれば、たちまち密告されます。また、金正恩は暗殺を警戒して毎日、住居を変えていますので、急襲も、無人飛行機攻撃も通用せず、逆に北朝鮮の怒りを買って反撃、戦争になるリスクが高いと思います」

 そうなった場合は、韓国のみならず、日本にも最悪のシナリオが待ち受ける。「金正恩は重要施設の地下要塞化を進め、有事の際は長期間の徹底抗戦を図ろうとしています。同時に地下サイロや移動式サイロ、さらには潜水艦から、韓国のソウルや軍事基地、日本の在日米軍基地に向け、大量の弾道ミサイルを発射するでしょう。また、自身の命と体制を守るために、膨大な生物化学兵器も躊躇なく使うはず。金正恩は“自身に亡命という選択肢はない。共和国とともに運命を共にするだけだ”と、常に軍幹部らに語っているくらいですから」(井野氏)

 前出の辺氏も、こう語る。「有事を想定し、すでに日本国内に北朝鮮の特殊部隊が潜伏していると思われます。必要があれば脅しの意味も兼ね、首都機能を麻痺させることもできるでしょう」

 水面下で危険にさらされている我が国だが、確実なのはXデーが迫りつつあるということ。一部マスコミでは、昨年12月、朝鮮半島のスペシャリストである、米国のダニエル・ラッセル東アジア太平洋担当国務次官補が密かに来日したとの報道も出ている。

「金正恩の“排除”後、アメリカ、中国、ロシアの3か国で北朝鮮を信託統治する計画を日本側に説明。そのための費用の負担を日本側に要請したという話です」(前出の記者)

 そうした計画を示唆するかのように、2月21日には、ロシアが北朝鮮に対して制裁を検討していることが明らかになった。「英紙『インディペンデント』によれば、国連安保理の制裁決議を履行するという名目で、ヘリコプターや船舶のほか、鉱物資源の輸入禁止、科学や技術分野の協力も禁止する見通しのようです」(前同)

 着々と狭まる北朝鮮包囲網。独裁者のクビが飛ぶのが先か、暴発が先か――。

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