今、第二の爆弾が炸裂しようものなら、そのときこそ、“合わせ技一本”となる可能性があるという。それが、株価の暴落だ。「もはや、アベノミクスという言葉そのものが聞かれなくなりましたが、安倍首相の経済政策の正体は、円安誘導によって株価を上げ、そうやって日本経済を支えている間に、新たな成長産業を育てようとするものでした」(前同)

 ところが、新たな成長産業誕生の気配はなく、安倍首相にとって、もはや株価だけが頼みの綱なのだ。「今のところ、アメリカのトランプ大統領就任前後からのドル高・円安傾向で株価はまずまずですが、トランプ氏の真価が試されるのは、これから。それ以前に、東芝の問題など、日本国内にも安閑とはしていられない企業は多い。株も、いつ何をきっかけに暴落するか分からない不安定な状況なんです」(同)

 そして、その株価暴落がアベノミクスの終わりを告げ、日本経済に大打撃を与えるだけではない。我々の老後の“虎の子”である年金に、トドメを刺すことになりかねないというのだ。

「安倍政権が、株価を上げるために“禁断の果実”に手をつけたからです。年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、第二次安倍政権誕生後、運用資金に占める株式の割合の上限を、それまでの2倍にあたる約50%へ拡大。これで大量に日本株を買って、株価を上げようという算段でした。結果、GPIFは、2015年度の運用実績で5.3兆円の赤字を出すに至っています」(民間シンクタンク関係者)

 つまり、それだけ年金支給の原資となる年金積立金を“スッた”ことになる。「もちろん運用ですから、株価が高騰すれば利益は大きくなりますが、暴落すれば年間5兆円の目減りですまなくなります。安倍政権が株価を重視するあまり、年金を短期的なバクチにつぎ込み、運用のリスクが高まったと言えます」(前同)

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