同じことは、日露関係にも当てはまる。在任中に北方領土問題にカタをつけたい首相は、昨年12月の日露首脳会談でプーチン大統領と「北方領土の共同経済活動」を行うことで合意。ここでも日本側が多大な投資をすることを約束したが、ロシア側は、返還のことなど一顧だにしなかった。

「あれだけ期待を持たせた結果が“ゼロ回答”。この4月末には、安倍首相がロシアを訪問し、両首脳が改めて会談することになると思いますが、うまくいかない結果に終わる可能性が高いと思いますね」(前出の角谷氏)

 そして、最後の“爆弾”も、これまた安倍政権の根幹を揺るがしかねない。「それは、南スーダンへの自衛隊派遣問題です。悪くすると政権のアキレス腱どころか、背骨をも粉砕しかねない問題になる可能性があるんですよ」(前出の政治部記者)

 安倍政権は、内戦が続く南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の任務内容に「駆け付け警護」の条項を加えた。駆け付け警護とは、自衛隊が武装勢力に襲われた国連職員や他国軍兵士らを救助する任務のこと。これまでのPKO活動より、それだけ自衛隊員のリスクが高まるわけだ。

 しかも、現地で自衛隊が作成した日報を、当初は「廃棄した」とし、その後、一転「保存されていた」と防衛省が発表するなど二転三転。その日報に「戦闘」という文言が入っていたことで、稲田朋美防衛相が、「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、(そうとは言わず)武力衝突という言葉を使っている」という答弁に追い込まれた。

「つまり、稲田防衛相は、事実上、戦闘地域に自衛隊を派遣していると認めたことになります。完全に憲法9条に抵触していますよ」(市民グループのメンバー)

 そんな中、政府は南スーダンに派遣している陸上自衛隊を、5月末で撤収することを3月10日に発表した。

 最強といわれつつも、初めから、その懐に爆弾を抱いていた安倍政権。炸裂へのカウントダウンは、最初から始まっていたのかもしれない。

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