「トランプ政権ですよ。米国務省は、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するとともに、水面下で金正恩体制後のシナリオを作成中で、米ロ中による一時的な共同統治案も浮上しているようです」(前出の通信記者)

 共同統治というオプションは、オバマ政権時にすでに提示されていたという。「オバマ政権の提案に対し、習主席は回答を避けていました。これは、中国側が“米国案を認める代わりに、南シナ問題には口を出すな”という取引を持ちかけようとしていたからではないでしょうか」(前出の宮﨑氏)

 地政学的に見て、北朝鮮の動向に最も影響を受けるのは中国である。「中国は北朝鮮を“自国の裏庭”と考えているはずです。ですから、金正恩体制が崩壊して裏庭に米国やロシアが入ってくることは大変な脅威なんです。米側は核施設への空爆作戦や、米韓共同で金正恩氏の除去を意味する“5015作戦”を検討し始めたという情報もあります。そうなる前に、中国側が自らの手で現体制を崩壊させる決断を下すかもしれません」(黒鉦氏)

 重村氏は、「中国が直接手を出す可能性は低い」と前置きしながらも、こう指摘する。「北朝鮮軍内に“現体制では持たない”という判断が生じた場合、クーデターに発展する可能性があります。その際、中国側は人民解放軍を通じてクーデターを支援する可能性はあります」

 また、宮﨑氏は、「中国には貿易などのビジネス面で北朝鮮側とルートを持つ人間が多くいますので、そうしたチャンネルを用いて、北朝鮮の軍や党へアプローチするのでは。こうしたシナリオが実現するのは、北朝鮮が“中国以外の国の庇護を画策している”ことが確認されたときでしょう。加えて、崩壊後の北朝鮮に据える“傀儡政権”の準備が整っている必要もあるはずです」

 金正恩氏が中国の面子をこれ以上潰すようなことがあれば、北朝鮮に“Xデー”が訪れる……!?

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