――その父の名を受け継いだのが、弟の二代目林家三平だ。現在、彼が出演する『笑点』(日本テレビ系)を、泰葉はどう見ているのか?

「……あんまり見てない。その後の『バンキシャ!』は見てる。予定調和は嫌いなので……。でも、なにしろ春風亭昇太師匠がすごくいいと思います。『六人の会』(注2)っていう小朝師匠が主催してた会のメンバーで、その頃からよく知ってます。

 人間がいいですね。背とおんなじで、ちょっとちっちゃいとこありますけど。落語に忠実だし、一生懸命だし、あと、かわいいですよ、人間が。ただ、女の扱い方が下手だから。もう少し勉強しないと、一生独身。

 回しも返しもうまいし、三遊亭小遊三師匠みたいな先輩に“じじい死ね”とか言っちゃうのも笑える。そこがかわいさだと思います」

――お父様のように?

「全然違います。父は、アドリブのように見えて、計算し尽くされた芸。数式のように美しいから、みんな感動するんです。……自分で言ってて酔っちゃった(笑)。零コンマ何秒まで計算してるんですよ。パパの芸はアインシュタイン級。研究に研究を重ねてますから。ノートを見てください。三平堂(注3)にあります」

――笑点の他の出演者の方々は?

「素晴らしい芸人さん。特に、一番は三遊亭好楽師匠。分かんないでしょ? 『笑点』の謎を解いてあげますよ。まとめてる一番の核心は、あの人なんです。好楽師匠は八代目林家正蔵(注4)の弟子で、もともと林家系列なんですよ。私が生まれたときから知っていて『ダウンタウンDX』でご一緒したときも“4人姉弟の中でやっぱり一番光ってたのは、やっちゃんだ”って言ってくれました。

 それで、正蔵師匠がお亡くなりになって、円楽師匠(注5)のところに行くんですね。芸風がまったく違う林家と三遊亭、両方経験してるわけです。こっちは芝居噺、こっちは人情噺、怪談噺。全部できるんです。すっごい人です。

 落語うまいですよ。特に、女やらしたら天下一品。『紙入れ』って落語の、一癖も二癖もある男回しが得意なおかみさんやらしたら最高です。面白くないとかいわれてるかもしれないけど、あれは演技。人間ができてないと、できません」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7