「これだけ世の中がぐっちゃぐちゃになってるんだもん。美しくて正しいものを求めてるんです。それを届けようとする心がエンターテイメントの核心です。お客様が感じてくれれば、それでいい。自分が感動してたら、それはただの素人ですから。

 パパも高座がウケたからって、ウケたぞぉって帰ってきませんでした。普通に帰ってきて、普通にご飯食べて、普通に私たちとお話して、エレガントに過ごしてましたからね」

――父が愛し、愛された落語については、なみなみならぬ思い入れがある。

「みなさんに提唱したいんですけど、落語をぜひ聞いてください。なぜかというと、落語好きな首相、吉田茂、小泉純一郎、安倍ちゃん、みんな大成功しています。落語の中に美しい日本の考え方がいっぱいあるんです。道徳観も文化もあるし、体に入ってくる。

 落語を聞く時間がなければ、朝流しとくだけでもいいんです。体にリズム感が生まれるし、頭の回転がものすごく早くなる。一人が二人以上、三人以上を演じるから、ポンポンポンと会話がどう返ってくるかが読めるようになる。

 ただ、落語はまたちょっと今、停滞してますね、私から見て。もっと攻めてほしいです。私、攻めて攻めて攻めまくりましたから。私、小朝師匠のやってることの、ほとんどのプロデュースをしてたんです。落語ブームを起こしましたからね。

 落語界初、日本武道館公演のプロデューサーをやって、大銀座落語祭も5年間。これも私じゃなければできなかったし、別れたら案の定、なくなりました。へへぇ、ざまみろ」

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