これが本当なら、話は首相夫妻の個人的な思想信条の問題にはとどまらない。そこに金銭の授受があったと考えるのが当然で、ロッキード並みとは言わずとも、紛れもない大汚職事件だ。籠池理事長は金銭授与の事実を否定しているものの、理事長から頻繁に陳情を繰り返されていたという自民党の鴻池祥肇元防災担当相は、「封筒のようなものを渡されて、“無礼者っ!”と突き返した」と語っている。

「もし自民党議員が金をもらって不正取得を口利きしたことが明るみに出たら、当然、安倍首相の責任問題に発展。厳しい立場に追い込まれるでしょう」(政治評論家の有馬晴海氏)

 ズブズブの癒着関係というイメージが払拭できなければ、これまで安定的に40%台後半~50%以上の支持率を誇り、“一強”と呼ばれてきた政治基盤が揺らぎかねないのだ。「このまま行けば、秋以降に予定されている総選挙は“安倍で本当に勝てるのか”という空気が自民党内で強まる可能性があります」(前同)

 折しも、3月5日の自民党大会で総裁任期が「連続3期9年」に延長され、安倍首相が東京オリンピック後の2021年まで政権を担えるようになったばかり。「しかし、自民党内には、仮に今、総選挙を実施したら、現有勢力から30議席前後は失うだろうという見方が浮上しています。よって党内では、来年への解散延期も慌てて検討され始めました」(永田町の事情通)

 “一強”に揺らぎが生じたと見るや、すぐさま挽回策を練るあたり、さすがは戦後の長きにわたって政権を担い続けた自民党のしぶとさと言うべきか。そして、風が吹けばなんとやら。「ポスト安倍」へ向けた動きまでも、にわかに加速してきたのだ。「万一“安倍では次の選挙を戦えない”というところまできたときのため、別の“顔”を準備する必要があるからです」(前出の有馬氏)

 そして最近、ある大物の動きが、とみに活発化しているという。「しきりに自派の会合を開き、“きたるべき時”に備えているという話もあります」(前出の事情通)

 歴史上、政局あるところには必ず黒幕あり。今回の動きにも、煽動者がいるというのだ。「それが、意外や意外。首相の盟友のはずの麻生太郎副総理なんですよ」(同)

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