まあ、テレビ番組で取り上げてもらうことで、ラップというものを多くの人に知ってもらうことができたのは、いいことだなと思います。ラッパーって立場が弱いんですよ。基本的に、一般社会からハミ出したやつらだけど、いざ大人の不良社会に入ったら、都合良く使われているやつらが多い。だから、ラッパーの組合を作ったらいいんじゃないかと思っています。

 ラップというものの可能性を広げていきたいんです。だから、マーシーや、加藤紗里、成宮くんの薬物疑惑を告発した友人A氏など炎上した人を呼んで、“言いたいことがあるなら、それをラップにしてみなよ。ラップならいろんな伝わり方するからさ”って、彼らのお手伝いをして、俺らもちょっとは一般の人にも知ってもらおうと思って。

 最終的には、ヒップホップやっているやつらで政治結社を作りたいんですよ。俺らは、ヒップホップをやりながらこの国で育った。ラップをやっているやつのなかには、日本語しか話せない白人も黒人もいるけど、みんな“この国のシステム最高”って言うんですよ。ラッパーとして、この国への意見を言っていきたい。ラップの世界って、ほんといろんやつがいるんですよ。だから、ラッパーの区議会議員、国会議員がいてもいいと思うんです。

 俺が、身に付けた唯一の生きていく手段はヒップホップ。その力でいろんなことができるんだってことを証明していきたいですね。

撮影/弦巻 勝

漢a.k.aGAMI かんエー.ケー.エーガミ
1978年、新潟県長岡市生まれ新宿育ち。00年にラップ・グループ『MS CRU』を結成。02年に『帝都崩壊』でデビュー。05年には、ソロアルバム『導~みちしるべ~』をリリースし、フリースタイルバトル大会『UMB』を立ち上げる。12年には、自身のレーベル『鎖GROUP』を立ち上げる。14年、西早稲田駅近くにスタジオとカフェを併設した『鎖オフィス』をオープンさせ、翌年、自身の半生を綴った『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社)を出版。現在も、ラッパーとして精力的に活躍中。

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