「脳年齢20代」をいつまでも確保する方法とはの画像
「脳年齢20代」をいつまでも確保する方法とはの画像

 近頃、人や物の名前を度忘れする、頭の回転が鈍くなった……なんて感じる人も多いのではないだろうか。だが、世の中には70代、80代でも“脳年齢20代”という人が存在する。「米紙『ニューヨーク・タイムズ』でも、65歳以上ながら20代と同レベルの脳機能を持つ“スーパー高齢者”についての研究が報じられており、現在、話題となっているのです」(医療ジャーナリスト)

『よみがえる脳』(サイエンス・アイ新書)などの著書もある薬学博士の生田哲氏も、こう語る。「かつて、人の脳の神経細胞は、年を取るにつれて減る一方で、加齢による脳の老化は避けられないと考えられていました。しかし2007年、米コロンビア大学の研究者は、年齢にかかわらず、脳の神経細胞が誕生し続けていることを証明しました。つまり、中高年であろうと、記憶力や頭の回転といった脳の働きを、今より若返らせることが可能だと分かったのです」

 そのためには何をすればいいのか――。その大いなるヒントこそが前述の“スーパー高齢者”なのだ。「彼ら17人について、米マサチューセッツ総合病院が調査したところ、脳内の“強い感情と結びついている領域”が発達していることが分かりました」(前出の医療ジャーナリスト)

 一方で、“脳トレ”のパズルや計算問題などは、若返りとはあまり関係がなかったという。「研究者のバレット氏によると、“強い感情”を刺激するには、精神的、肉体的に“自分の限界を超えるような無理をすること”、すなわち、難しいことや得意でないことに挑戦すると効果的なんだそうです。たとえば、知らない言語や楽器を習う、ハイキングやトライアスロンなど、やったことのない高難度のスポーツを行う、内気な人が人前でのスピーチに挑戦する、などです」(前同)

 自分のできることや、やりたいことばかりをしていては老ける一方だという。さらに、「限界を超えるだけでなく、何かを“やりたい”“実現したい”“チャンレンジしたい”といった意欲を持ち続けるだけでも、同じ効果があります」と語るのは、「もの忘れ外来」を設置し、これまでに10万人以上の脳を診断している『おくむらメモリークリニック』の奥村歩院長(医学博士)だ。

「こうしたやる気は、脳を刺激し、“デフォルトモード・ネットワーク(DMN)”を活性化させるんです」 DMNとは、何もしていないときに、自動的に活発になる脳活動のこと。

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