医療事故も多発…「インチキ美容整形」の全容

「今回の件については、原因がハッキリしていないため何も言及できませんが、これまで世にさまざま起きてきた美容整形での医療事故は、起こるべくして起きたことだと思います」と熱い口調で語るのは、愛知、大阪、東京、北海道と4つのクリニックを持つ『水の森美容外科』の竹江渉総院長(以下、竹江氏)だ。

 冒頭の発言は、先月に名古屋市で起きた死亡事故のこと。東海美容外科クリニックで、局所麻酔を伴う豊胸手術を受けていた女性(32)が意識不明になり、搬送先の病院で死亡してしまったのだ。

 現在、3000億円産業にまで成長した美容整形業界。テレビでは“整形バラエティ番組”が放送され、女性芸能人が自身の整形話をオープンにするなど、美容整形はすっかり市民権を得ていると言える。しかし、「今の美容整形業界は非常に多くの問題を抱えている」と竹江氏は話すのだ。

「医療事故で表に出るのはほんの一部です。大手のクリニックには事故対策部門があり、担当者はトラブルになった患者との解決料として、1億円くらいまでの裁量権が与えられているといいます。そうしたこともあり、事故は公にならないんです」(竹江氏=以下同)

 医療事故が多発している理由――それは「医者の倫理観の欠如と技量不足」だと、竹江氏は断言する。「一部のクリニックでは、いかに金を儲けるかしか考えていません。若く経験の浅い医者に教えるのは、技術よりも金儲けの方法で、彼らに、効果のない手術を患者に勧める“営業”を行わせるんです。医療の現場に営業行為があってはいけないでしょう!」

 竹江氏は、『水の森美容外科』のサイトでも「美容整形の裏事情」や「失敗事例のまとめ」というページで、さまざまな事故や悪徳診療の事例を紹介している。

「たとえば、“糸リフト”という施術があります。顔のたるみを改善するために、顔の中に糸を入れて皮膚を引っ張り上げる手術ですが、結論から言えば、これはまったく意味のない手術です。なぜなら、数か月すれば、引っ張り上げられた皮膚は元に戻ってしまうから。この手術を何度もやって、数十万円を失って初めて、無意味なことだったと気がつく患者さんもいます」

 その他、さほど効果が変わらないにもかかわらず、あたかも画期的な最新医療と思わせるネーミングをつけ、「結局は患者の金をドブに捨てさせている」クリニック、そして医師が存在するというのだ。

「今、若い医師は収入面だけを考えて美容整形業界に入ってきてしまう。大手の求人は、未経験の医師の1年目の年収が2000万円(!)ですからね。僕らの時代は“やっぱり外科がカッコいい”という思いで、この世界に進み、若手の頃はそれこそ不眠不休で徹底的に技術を鍛えられました。今、患者のことだけを考え、志を高く美容整形医療に従事している医者は、10人に1人しかいないと思います」

 お隣の韓国では死亡事故が相次ぎ、2012年には日本でも脂肪吸引手術時に腹壁や腸を傷つけ、脱水症に至らせ死亡させたとして、医師に有罪判決が出ている美容整形医療の世界。

「もちろん、医療行為なので、防ぎようのないトラブルが生じる可能性はあります。ただ、患者に手術前にリスクをしっかりと提示し、事故が起こったときに適切な対応ができるかどうかは、医者の技量次第。今、美容整形業界は、変わらなければいけない時期なんです」

 竹江氏の声が届かなければ、美容業界に未来はない。

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