確かに、塩分摂取量が減っていれば、高血圧患者数も減っていなければおかしいが、冒頭にも言ったように、今も年間100万人単位で増えている。もちろん、塩分の摂りすぎはよくないが、そこまで神経質に減塩を意識する必要はなさそうだ。「塩分を摂って血圧が上がるのは一時的なもの。塩気の強いポテトチップスをたくさん食べると、喉が乾いて水分をたくさん取りたくなるように、人間の体には体内の塩分濃度を調整し、余分な塩分を排出する仕組みが備わっているのです」

 ただ、どんな塩を摂るか、については注意が必要だという。「気をつけていただきたいのは、いわゆる食卓塩に多い“精製塩”。その他の“食塩”や“粗塩”には、主成分となる塩化ナトリウムの他に、塩化カリウム、マグネシウム、カルシウムなど複数のミネラルが含まれているのに対し、精製塩は、塩化ナトリウムの含有量がなんと99.9%以上。ナトリウムには筋肉を収縮させる働きがあり、血圧を上昇させてしまいます。そのため、余分なナトリウムを排出してくれるミネラルであるカリウムが必要なのです」

 問題のある精製塩の存在の背景には、71年に施行された「塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法」があるという。「民間企業が独自に塩を精製したり、海外から輸入することを禁じたもので、この法律によって日本では塩化ナトリウム含有量が99.9%以上である精製塩以外の塩を生産することが、事実上不可能となったのです。80年代後半から徐々に自由化され、02年に完全に自由化されましたが、それまでの数十年、我々は精製塩を摂らざるをえない環境にあったのです。これが、高血圧を国民病にした一因ではと、私は考えています」と言うから、驚きとともに怒りを禁じえない。

 これを機に、血圧に関する正しい知識と情報を、そして、降圧ツボと降圧ストレッチをマスターし、健康で長生きを目指そう。

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