稀勢の里と高安の師匠は、ガチンコで鳴らした先代・鳴戸親方(元横綱・隆の里=故人)。そして、不器用に稽古を重ねることで強くなった新横綱の背中を追ってきたのが高安だ。大学出身の力士が増えた昨今の角界で、中卒で入門した“叩き上げ”であることも2人の共通点である。「2人とも茨城県出身。中学までは野球をやっていたことも同じです」(スポーツ紙相撲担当記者)

 高安が、初場所で稀勢の里と1敗で並んだ白鵬に土をつけ、稀勢の里の初優勝、横綱昇進をアシストしたのは記憶に新しいところだ。腰高で脇が甘いのが欠点とされる高安だが、ゴムまりのようだと形容される柔軟性に富んだ肉体は、大きな武器。突き押しを基本に左四つも得意としている。

「最近の高安は当たりが強くなりました。右肩から当たり、右からカチ上げることで、自分の相撲の形に持っていけるようになった。大関は当確。経験を積めば、横綱も狙えるところまで来ています」と、相撲評論家の三宅充氏も高安を高く評価する。

 では彼以外、未来の横綱候補はいないのか? 今場所の成績は振るわなかったが、東小結の御獄海(24=出羽海)、西小結の正代(25=時津風)も、今後の角界を背負って立つ逸材だ。正代は東農大、御獄海は東洋大で学生横綱に輝くなど、2人は学生時代からしのぎを削ってきた。

「正代はのけ反るようにして胸から当たる立ち合いに課題ありですが、スケールの大きな相撲は魅力十分。御獄海は突き押しにも四つ相撲にも対応できる相撲巧者。2人とも経験を積めば、もっと強くなりますよ」(前出の三宅氏)

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