「当初、“控え要員”だった小林には、比較的時間がありました。そこで彼は、この時間を投手たちとのコミュニケーションにあて、それぞれの投手の特徴や性格を頭に叩き込んだんです。その時間的余裕が、意識改革をした小林に“覚醒”をもたらしたのかもしれませんね」(前出のデスク)

 小林の覚醒を最も喜んでいるのは、他の誰でもない巨人の由伸監督だろう。「“巨人の最大の弱点”だった捕手のポジションが盤石になるわけですからねえ。小林が信頼に足る正捕手になるということは、V奪還が近づいたことを意味しますから」(前同)

 今年の巨人は、30億円といわれる大補強を敢行した。しかし、それでもなお、最大のウィークポイントといわれていたのが捕手のポジション。その最後のピースが、小林の覚醒で埋まったというわけだ。

 しかし、一抹の不安がないわけではない。「日本最高レベルの投手陣がそろった侍JAPANですから、投手のコントロールが抜群に良かったのも事実です。高レベルの投手に慣れてしまった小林が、巨人の投手陣とのバッテリーで、WBCと同じような活躍ができるかどうかは、少し不安な面もありますね」(前出の持木氏)

 また、WBCではピンチを招いても、一流の野手陣が、すぐに火消しをしてくれるという幸運にも恵まれていた。それによって、チームも小林も、ますます乗ってくるという好循環が、そこにはあったのだ。しかし、長いペナントレースでは、そういった幸運が毎回、訪れるとは限らない。これらの課題をどう切り抜けるか、ここからが小林の真価が問われることになるのだ。

 小林の覚醒がシーズンに突入しても継続し、ひいては、それが巨人軍にVをもたらすのだとしたら、すべての巨人ファンは、小久保監督に足を向けて寝られないかもしれない。

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