また、<勉強をしない><いつも見切り発車>と言う。「普通、キャリアアップをしたいと思えば、まずは勉強をし、資格を取ったりという発想になりがちですが、彼らは勉強をしません。アイデア優先で、まず行動を起こします。ビジネスをスタートさせてしまい、実践の中で学んでいくのです。走り出してから考えるのです。必要なことは、実践の中で考え、身につけていくのです。特に現代社会は、世の中のスピードが早く、のんびり勉強していたら時を逃してしまいますからね」

 いつも見切り発車なだけに、全部が成功するとは限らないというが、彼らには、<失敗の概念がない>のだという。「大富豪の方でも、10のうち9は失敗します。しかしながら、失敗の仕方がとてもお上手で、損失を小さく、決して深手を負うような失敗の仕方をされません。また、9割の失敗があっても、“成功をしない方法を見つけた”と前向きに捉え、1割の成功を大きくされることの糧にされているんです」

 したがって、彼らにはストレスというものが、ほとんどないという。「ストレスを溜めないという以前に、<ストレスがない>のです。愚痴ったり怒ったりするということも、まずありません。<怒りにパワーを使ったところで、問題をこじらせるだけで、何も生まない>ことを知っているからです。特に人間関係は、こじれるとお金がかかります。最も身近で分かりやすいのは、夫婦関係でしょうね。離婚にでもなれば、莫大な財産分与が発生しますから、皆さん、実にうまくやられています(笑)」

 これは、<敵を作らない>という彼らの共通認識にもつながってくる。「人間関係を築いていく中で、どうしても意地やプライドから敵を作ってしまうことがあります。しかし、長期で考えると、その人が味方になってくれる可能性も大いにあるわけです。それをよくお分かりなのでしょう。一般的に、お金持ちというと、横柄で威圧的なイメージをお持ちになるかもしれませんが、本物の大富豪の方々は、とても腰が低い気配りの人です。偉そうな態度をしていれば、すぐに悪い評判が立つことを理解しているうえに、“お金持ちなのに、なんて腰が低いんだろう”と言われることが自分の評価となり、富として返ってくることを、よくご存じなんです」

 お金を稼ぐことと同時に、人間関係の築き方も一流なのだ。その人間関係は、<損得よりも好き嫌い>を大切にするのが、彼らの習慣だという。「目先の損得の関係は短期的にしか続かないものです。ところが、好き嫌いの関係は一生続きます。会社の人間関係でいうと、現在は直接的な関係性は薄い部署の上司であっても、面白そうな人だから、つきあってみよう、みたいなことです。そういう人とのつきあいは楽しいので、無理なく長続きするものです。それが、10年後、20年後に生きてくるんです」

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