「そもそも百条委員会が実現した背景には、豊洲市場の土地購入を巡り、石原氏の責任を求める住民訴訟が関係しています。都側は“石原氏に責任はない”という姿勢でしたが、これを転換。2月に小池氏側は、弁護士を入れ替えるなどして、石原サイドに揺さぶりをかけました。それが効いて、都議会自民党が小池氏側に“抱きつき”、自分たちの判断を見直すと、百条委員会へ発展したのです。ただ、喚問の場での自民党の質問は石原氏寄りでしたが……」

 そもそも、当時、石原都政を支えていた自民、公明両党が、議会としてのチェック機能を果たさなかったことも、問題を引き起こした一因。追及の手を弱めてしまうのは無理もない。

「一方の野党も、選挙を意識してかバラバラでしたよね。野党が共闘して質問を一本化するなど、鋭い内容にする手法も取れたのに、それをしなかったのは、選挙を意識して各党の思惑が一致しなかったのでしょう。ゆえに証人喚問は、いわばセレモニーに過ぎませんでした」(前同)

 一方の石原氏は老獪。「言質を取られることはさせませんでしたよね。今後の裁判を考え、公式の場に出席した事実を積み重ねたのでしょう」(同)

 また、元民主党議員の川内博史氏は次の点を指摘する。「今回の証人喚問ですが、なぜ汚染が分かっていたはずの豊洲が当初、土壌汚染対策法の指定区域から外れたのか、その点に質問がなかったことが不思議です」

 区域外になるということは、“豊洲は調査せずに市場として使用できる”ということを意味する。それに対し、川内氏は環境省に掛け合い、豊洲を汚染対策法の指定区域にさせたのだ。

「地下水のモニタリング調査では土壌汚染が確認されているため、民主党政権時代は、農水大臣は豊洲問題に対し“地下水問題がある限り、豊洲を中央卸売市場として許可しない”と明言しています。石原、浜渦両氏は土壌汚染対策法において、豊洲が指定区域から外れたのを知っていたのか、否か。この最も重要な点が明らかにされなかったのは、残念でなりません」(前同)

 数々の疑問を残したまま終わった百条委員会。このまま逃げ切れるのか。

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