映画やアクション映画での共演から親交を深め、渡瀬さんが発起人となって結成された「東映ピラニア軍団」の一員で、公私にわたって渡瀬さんと親交の深かった、俳優の志賀勝氏(75)。同氏は本誌の直撃に、「(渡瀬さんが亡くなり)がっくり来てるんや。よぉ話せんなぁ」と肩を落としながらも、次のような話をしてくれた。

「あるときね、街で一人のチンピラが我々に寄って来たことがあってね、仲間の誰かがボコボコにされて、私ら、ひるんでしまって、弱ってたんだな。そしたら恒さんが、そいつの前に出ていって“いい加減に許してやれ”って、一発で相手をのばしちゃったんだよ。恒さんは腹が据わっているんだ。何も怖いことがないよと。私よりも年は2つくらい下だったけど、本当にかっこいい男だったな」

 また、坂上忍も、伝説の目撃者の一人だったようだ。渡瀬さんを特集した今月16日の情報番組『バイキング』(フジテレビ系)では、渡瀬さんとドラマで共演したときの話として、こんなエピソードを披露している。「クランクインのとき、プロデューサーと、ある役者が言い合いになって。胸ぐらつかむまでいったら、渡瀬さんが役者の胸ぐらをつかんで押しつぶした。それで終わりです」

 そして、何よりも、兄・渡哲也のこの言葉だろう。「ケンカも勉強も、弟のほうが上だった」

 このようにケンカ話が絶えない渡瀬さんだが、多くの仲間たちに慕われたのは、その人柄ゆえ。「ピラニア軍団」で同じ釜の飯を食い、プライベートでも親友と認め合う仲だった俳優・成瀬正孝氏(67)は、渡瀬さんと最後に会った昨年5月のときの様子を、こう話してくれた。

「渡瀬さんは、『おみやさん』の撮影、私は別の仕事でしたが、京都でたまたま一緒になって。体調は、やはりあまり優れないようでした。だったらホテルに帰ればいいのに、せっかくだから飯でも食いに行こうと、6~7人と時間を作ってくれたんです。昔から、現場ではスタッフにも“疲れてないか”“腹減ってないか”と、気を配る人でしたからね。独身時代、渡瀬さんの運転で伊豆・戸田の浜辺によく遊びに行って、素潜りしてタコや魚を獲ったりしたんだよね。それから若いときに2人で遊び歩いたこと、そうしたことばかりを思い出しますよ」

“本当にかっこいい男”とは、渡瀬さんのような男のことを言うのだろう。心からご冥福をお祈りしたい。

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