『やすらぎの郷』、倉本聰と石坂浩二の「秘密の関係」の画像
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「近ごろのテレビはチャラついた若者向けの恋愛ドラマばかり……」と、お嘆きのお父さんに朗報だ。

 不朽の名作ドラマ『北の国から』シリーズの脚本を手がけた倉本聰氏(82)がシニア世代に贈る新作の帯ドラマ『やすらぎの郷(さと)』(テレビ朝日系/月曜日~金曜日昼12時半)が、4月3日から放送されている。主演の石坂浩二をはじめ、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチス、常盤貴子、松岡茉優ら豪華俳優陣が共演する。

 名作の予感しかしない本作の制作発表記者会見が都内で開催された。「僕の周囲はみんな高齢者で……どうして、きちんと老人も見られるドラマがないのか。ゴールデンタイムに対抗してシルバータイムというのができないかと企画を立てました」と、会見の冒頭に趣旨を倉本自らが宣言した。

 本作品は、かつてテレビの黄金時代を支えた俳優、作家、ミュージシャン、アーティストなどいわゆる「テレビ人」と称する業界人だけが入居できる老人ホーム『やすらぎの郷La Strada』(ラ・ストラーダ)を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。

 売れっ子シナリオライターだった菊村栄(石坂浩二)を中心に、このホームに入居した往年の大スターたちが一人の人間として、人生や家族、そして死といったシニア世代が直面する様々な問題を、ユーモラスに描く。

「僕は当て書きすることが多いんですが、その人の長所じゃなくて短所とか欠点をクローズアップして書くようにしてるんですね。だいたいここにいらっしゃる方(出演者)の欠点とか弱みはつかんでおりますから(笑)。そこをすくってあげると面白いものが書けるかなって思って、楽しみながら、書かせてもらいました」と、脚本作りの裏側を暴露する倉本。そしてその“矛先”は石坂浩二に向いた。「この方(石坂)は、プライベートも含めていろいろありますが、こういう場で言ってはいけないことが多すぎるので止めときます(笑)」と石坂への皮肉とともに独特なシナリオ創作の一端を披露し、笑いを誘った。

 これに対して石坂は、「短所を出せば自分なんですよね、また短所って自分では気づいていないものですから、そのへんを演じればいいんだなと……ですから、随所に『鑑定団』の話が出たり、いろいろなことがありまして、自分はこう思われていたんだと思いながら演じるのは意外と楽しいです」と、もはや倉本の脚本に抗うことなく、素直に芝居をするだけといった石坂も倉本の前では初々しい青年に見えるから不思議である。

 そんなシルバー世代の俳優がいきいきと登場する、ゴールデンタイムならぬシルバータイムの新ドラマにチャンネルを合わせてみてはいかがだろうか。

撮影/高嶋一成

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