鈴木たろう(プロ雀士)「勝つコツは、いかに攻められるかだと思うんです」放銃を恐れぬ人間力の画像
鈴木たろう(プロ雀士)「勝つコツは、いかに攻められるかだと思うんです」放銃を恐れぬ人間力の画像

 子どもの頃にプロ野球選手になりたいと漠然とありましたけど、特に夢があるわけではなく、なんとなく大学に行って、なんとなく就職していくのかなと思っていました。ただ、大学時代に麻雀にハマってしまって学校にも行かず、単位も取れていなかったんですよね。そのまま、雀荘でバイトして、好きな麻雀やって生活していけるならと思っていたら、知り合いがちょうどプロの新団体を立ち上げるって時だったんです。それで、試験も受けず、気がついたらプロ雀士になっていました。

 でも、当初は麻雀にプロなんてあるわけないじゃんって思っていたんです。プロって絶対的な強さを持っているから、プロだと思っていたので、運に左右される部分が大きい麻雀で成立するわけがないって。

 正直にいうと、いまだにプロとは違うんじゃないかって思ったりします。将棋や囲碁なんかは、プロとアマチュアの間に絶対的な壁があるじゃないですか。でも、僕は一般の方でも強い方と卓を囲んだら、負けることもありますから。長く打てば、それなりの結果は出せるっていう自信はありますけどね。だから、人前に出て、麻雀の魅力を広めていくっていう部分や、麻雀の知識の深さ、アベレージでは勝てる。そういう面でプロって思ってもらえればいいのかなとは思っています。

 だいたい、麻雀だけで食ってる人なんて、ほとんどいませんから。大きい大会で優勝すると、300万円くらいの賞金がもらえたりしますけど、毎回勝てるわけでもないですしね。会社勤めしながらや、自分で雀荘を経営していたり、ほかの収入源をベースに、プロ雀士をやっている方が大半ですね。僕も、今日の衣装がそうなんですが、麻雀の衣装を作って売ることを考えています。

 ただ、麻雀って社会的な壁を簡単に越えられるんですよ。社会的な立場のある方とでも、麻雀を通して親しくなれるんです。それは非常に、ありがたいことですね。

 麻雀は人生の縮図だなんて言われますが、そう感じる時がありますね。麻雀には、“流れ”って言葉がありますが、確かに僕も感じることはあるし、それを信じてやってみるんです。でも、それを意識したところで、どうしようもない。人間ごときが大いなる力に抵抗しようとしても、転がされるだけだと。そこは、謙虚に今まで身に付けた技術で、できることをやるしかないと思うんです。

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