「彼女は事件直後、被害者の自宅を訪れ、息子、母親とともに過ごしていました。神奈川県警は彼女の身柄を拘束し、事情聴取を徹底しようとしましたが、警察上層部からストップがかかったといいます」(前同)

 というのも、被害者の隣室には政府要人が住んでいたというのだ。「官邸工作の拠点となっていた可能性が高く、事情聴取で絞り上げれば、政治スキャンダル、秘匿情報など、何が飛び出すか分からない。官邸からの圧力か、または警察庁が忖度したのか。捜査が尽くされないまま、幕が引かれてしまった」(同)

 また、経済界でも中国人スパイは暗躍。井野氏は、約10年前に発生した、大手自動車部品メーカー『デンソー』の情報漏えい事件の例を挙げる。「エンジン部門で設計を担当していた中国人社員が数年にわたり、13万件もの設計情報データを引き出し、中国に送っていました。その社員は、在日中国人の自動車技術者が集まる『在日華人汽車工程師協会』の副会長で、軍情報局に直結する技術者でした」

 だが、そうした素性を隠して来日し、大学で学んだうえで、デンソーに入社。「警察が自宅に踏み込むと、彼は隙を見てパソコンを破壊。確たる証拠が消え、不起訴になり、強制退去にさえなりませんでした。その後も出国せず、身分、姓名などを変え、新たな任務についているともささやかれています」(前同)

 さらに恐ろしいことに、企業のみならず、我々の個人情報さえも漏えいしていると、時任氏は指摘する。「官公庁、銀行、生命保険会社、クレジット会社などを顧客に持つIT企業の多くは、顧客情報のデータ入力業務を、人件費節約のため、中国の現地法人に委託しているんです」

 たとえば生命保険会社の場合、日本からPDFファイルで送られてきた手書きの保険申込書を見て、中国人たちが住所、氏名、生年月日から銀行口座にカード情報、手術・通院歴までパソコンに打ち込むという。「現地法人を監督する中国政府が、セキュリティ管理者に接触し、情報提供を迫れば、データの抜き取りも可能です」(前同)

 こうした事態は海外では考えられないという。「個人情報の取り扱いに規制をかけない国は、ほとんどありません。米国、中国は情報の国外持ち出しは禁止・規制しているし、韓国も規制する方向です」(同)

 時任氏が「警戒意識も対策も諸外国と比べものにならない最低レベル」と警鐘を鳴らす我が国。いつ何が起きてもおかしくないのだ。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3