そして3月23日、籠池氏の証人喚問が行われたわけだが、政治家や官僚の明確な関与はまったく明らかにならず、「大山鳴動してネズミ一匹」どころか、ネズミさえ出て来なかったのはご存じの通り。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が言う。

「本来なら、極めて怪しい(担当役所の中心である)財務省の疑惑が最大の焦点になるはずでしたが、(教育勅語暗誦などの)例の異様な映像が再三、流れたことなどで焦点がボケてしまった。しかも、昔の楢崎弥之助氏のように鋭く追及する“政界の爆弾男”の存在もなく、この間の野党の調査能力不足、突っ込みの甘さもあり、国民からすれば何がなんだか分からない結果になってしまいました」

 結局、この問題、すべてがウヤムヤで終息しようとしているが、この「籠池劇場」に登場した“劇団員”を取り巻く状況は、大きく変わったようだ。まずは、今回の問題の元を作ったとも言える昭恵夫人と、それを弁解した安倍首相から見てみよう。

 証人喚問では、昭恵夫人から「安倍晋三からです」と言って100万円の寄付をもらったとの籠池証言が飛び出し、昭恵夫人付き職員からFAXを受け取っていたことも明らかになった。そこで、夫人の証人喚問要求が出るに至ったわけだが、「安倍首相は、昭恵夫人のことを“私人”と言い続けましたが、名誉校長に就いた日の学園訪問時に政府職員が同行した件は、職員は公務で行ったことが判明しており、首相がごまかそうとしていたことが明らかになりました。そもそも、5人もの職員を我々の税金で付けておいて、“私人”のはずがありません」

 こう語るのは、ジャーナリストの安積明子氏。さらに続けて、「菅義偉官房長官は証人喚問直後、昭恵夫人付き職員が籠池氏に出した財務省への問い合わせ結果を記した文書を公開し、なんら“関与はない”との見解を出しましたが、問い合わせをしているわけですから、関与していたのは明らか。しかも、時の首相夫人が名誉校長になったことで、行政側が忖度し、結果的に学園の要望が通ったことは彼女も分かっているはず。あまりに無防備すぎます」

 そのためか、国民の不信感を招き、安倍内閣の支持率は52%と、喚問前に比べて約10%も下がっている。軽率な行動と苦しい取り繕いが招いた結果とも取れるが、ともかく、“劇団員”の中で一番の大損をしたのは、この人たちだろう。

 お次は、国会において、弁護士として森友学園との関わりは一切なかったと答弁しながら、実際は04年12月、森友学園の訴訟で出廷していたことが明らかになった稲田朋美防衛大臣。

  1. 1
  2. 2
  3. 3