やっぱり、プロレスラーはただ強いだけじゃなくて、みんなに可愛がってもらわなければ、ダメなんですよ。天狗になっている人間や、人をバカにするような人間には、誰もチャンスをあげませんよ。

 俺は、お袋が女手一つで育ててくれたんですがね、人を信用して、嘘をつかずに生きろって教えられて育ちましたからね。だから、可愛がってくれる人はたくさんいました。

 ただ、人を信用して生きてきたんですが、プロレス界は汚い連中もいっぱいいますからね、散々利用もされましたね。ニューヨークのメインイベントに出ていたときは、3000万円のギャラだったらしいんですが、俺んとこには、1000万円。知らないうちに抜かれていたんですよ。その抜かれた金で、大金持ちになった人が何人もいますよ。

 まあでも、その頃、騙されずに、ビルなんか建てて左団扇でボーっと生活していたら、ボケちゃっていたかもしれないしね。今は、新大久保で居酒屋をやっているんですが、店内を汗水垂らしながら動き回って働いていると、健康にもいいんです。

 それに、自分の孫と同じくらいの20代の若い女の子が、お客さんでやってくるでしょう。“昔、プロレスやっていたんですか? 一緒に写真撮ってください”なんて女の子も酔っているから、しがみついてくるわけですよ。そしたら、自分の腕に女の子の胸が当たるんですけど(笑)、こういう商売してなかったら、こんなチャンス1回もないって。楽しい人生ですよ。

撮影/弦巻 勝

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