睡眠時間、寝酒、脳の掃除…健康特集「間違いだらけの睡眠常識」の画像
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「最近は、そこまでハードに仕事してないのに、なんだか体はダルいし、頭も重い。年のせいかな……」 そんな“違和感”を感じている読者の方はいないだろうか?

「身体の慢性的な不調の多くは、もちろん生活習慣によるもの。食生活や運動の大切さは十分認知されていますが、それ以上に大事なのは“睡眠”です」 このように語るのは、睡眠と生産性の関係について研究する、脳科学者兼コンサルタントの菅原真一氏だ。

「そもそも、誰もが勘違いしがちなのは、人はみんながみんな長く寝ればいいというものではないこと。“5時間も寝れば頭がスッキリ”という人もいれば、“12時間も寝たのに、まだ眠い”という人もいます。体質や生活リズムなどによって、適正な睡眠時間には個人差があるんですよ」

 しかし、単純に「あなたは何時間ですよ」と算出するのは、複雑な検査を経ても困難なのだという。「そのため、ある程度の時間を確保したうえで、なおかつ、それに見合った“質”をキープすることが大事。“ただ寝ているだけ”では、たとえ10時間だろうと20時間だろうと、4時間の上質な睡眠には勝てない。いわゆる“ジャンク睡眠”ということになってしまうんです」(菅原氏=以下同)

 ジャンク睡眠とは、たとえば電気をつけっぱなしであったり、物音がする中で寝たりと、阻害要因がたくさんある環境で眠ること。一見、寝ているように見えても脳は本人も知らないうちに様々な情報を処理しているので、これでは結局リフレッシュされないのだ。「また、脳の機能を考えるうえで、実はお勧めできないのが“明日は早いから、今夜はいつもより早く寝よう”という行為です」

 なんと、早寝が睡眠の質を下げるというのか!? 「脳には、生活のリズムが刻み込まれるもの。たとえば、いつも23時に寝る人が“明日は2時間早く起きたいから、21時に寝よう”としても、いつもは脳が覚醒している時間なので、なかなか眠りに落ちることができない。結果、床についてからも何かと物事を考えてしまい、さらには“早く寝なきゃ”というプレッシャーで、よけい脳がアクティブになりかねません」

 また、18~22時あたりの時間帯は、昼から夕方にかけて低下した脳の活動が再度活発化する、脳にとっても“ゴールデンタイム”。この時間に無理やり眠ろうとしても、なかなか脳が休んでくれないという。

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