麻生財務相と安倍首相の関係は良好だが、大宏池会が誕生すれば状況は変わる。党内最大派閥を基盤に、一強と謳われる安倍政権が弱体化しかねない。「麻生氏の野望は安倍政権を支えながらも、自らキングメーカーとなって自民党を支配するところにあります」(自民党の中堅議員)

 安倍首相にとっては、まさに試練続きの4月。だが、外交面では内政面以上に困難な問題が降りかかっている。まずは、日露関係だ。「米軍によるシリア空爆で、シリア政府を支援するロシアとアメリカの関係が悪化。それに伴い、アメリカの軍事行動を支持する安倍首相とプーチン露大統領との関係も、これまでの蜜月関係から一転しました」(政治部記者)

 加えて、国際政治ジャーナリストの山村明義氏は次のように解説する。「昨年暮れにプーチン大統領が訪日した際、北方領土問題で踏み込まないロシア側の対応を見て、外務省内には失望感が広がりました。そこに、今回のシリア空爆です。結果、日本は米ロ間で中間的な位置が取れなくなり、外務省では、より日ロ関係が厳しくなったという認識を持っています」

 安倍外交の“最大のウリ”でもあったロシアとの交渉。一時は期待感が高まった北方領土返還も、これで一気に遠のいてしまった。さらに極めつけは、緊迫する北朝鮮情勢だ。

「“先制攻撃”か“報復”かと、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の丁々発止が続いていますが、アメリカが攻撃すれば日本が報復対象になることは必至。外国から攻撃されるという戦後初の事態を迎える恐れもあるわけですが、はたしてどこまで対応できるのか」(前出の夕刊紙記者)

 それどころか、安倍首相は北朝鮮の挑発に乗る始末。「国会で“北朝鮮がサリンを弾頭につけて着弾させる能力を保有している可能性がある”と発言したんです」(前同)

 これに北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化大使は「(日本は)共和国(北朝鮮)もサリンガスをつけたミサイルを持つ可能性があると世論を広げている。朝鮮半島で戦争が起きれば、日本が一番の被害を受ける」と反応。日本へのミサイル飛来の危機が増しているだけに、「安倍首相の発言は思慮に欠ける。ミサイルを確実に撃ち落とせるかどうかも分からない国の指導者が、敵を刺激してどうするんだ」(前出の野党の中堅議員)という批判の声もある。

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