小泉総理には一度、どうやったら、5年も総理が務まるんですかって聞いたことがあります。“いいこと聞いてくれた。教えてやろう。コツは、聞いたことをその場で忘れることだな”。マジですかと思いました(笑)。

 でも、続けてこう言うんです。“お前な、総理が迷ったり悩んだりしてどうするんだ。その場で決める、責任は自分で取る。そういうことだよ”と。このセリフは小泉総理にしか言えないなと思いました。

 4人の総理にお仕えして思うのは、総理大臣って恐ろしい仕事だなってことですよ。小渕総理がそうであったように、命を削るでしょう。田中総理がよく言っていました。“大臣は、努力すればなれる。党三役は、ものすごく努力すればなれる。でも、総理総裁は努力だけでなれるものではない”って。

 だから、総理というのは“やりたい”と言ってなれるようなもんじゃない。しかし、誰かがやらなければいけないとなったときに、30年も国会議員を務め、閣僚を6年も務めた者は、“いえいえ、私のような者にはできません”とは言えないんじゃないでしょうか。

 自民党は国民政党だから、安倍政権の次の時代のことも責任をもって考えなければいけないと思っています。誰がやるか、ではなくて、何をやるか。それを明確にして、自民党なら任せられる、そう思ってもらわなければいけない。

撮影/弦巻 勝

石破茂 いしばしげる
1957年2月4日生まれ、鳥取県出身。B型。79年に慶應義塾大学卒業後、三井銀行に入行。86年に全国最年少議員として、衆議院議員初当選。以来、10期連続当選を果たす。02年に防衛庁長官、07年に防衛大臣に就任。08年、農林水産大臣、09年、自由民主党政務調査会会長、12年、同幹事長、14年、国務大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当などの要職を歴任した。70年代アイドル、鉄道、ミリタリー系プラモデルなどに造詣が深い。

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