さらにレンジ麺は、味以外の、“手軽さ”の点でも、大いに進化しているという。「もともとは、ゲル状のスープの上に麺が乗っていて、温めることでスープが液体になるという仕組み。その際、麺がゲル状のスープに直接触れて味が染み込まないよう、麺とスープの間に透明なシートが敷かれ、食べるときに引き抜く手間が必要でした」(同)

 しかし、最近はこのシートをあまり見かけない。「透明なシートの代わりに加熱で溶ける、薄い無味無臭の寒天の膜を敷き、スープと麺が直接触れないようにして、シートを抜く手間が解消したんです」(同)

 さらに、容器も進化。「レンジで温める場合、問題になるのが温めムラ。電子レンジは電磁波で温めるので、どうしても容器の外側と中心部で、温まり具合に差ができてしまんです。それを解消すべく、ファミリーマートのレンジ麺は、容器底部を上げ底状態に改良。容器中心部のスープが少なくなり、全体を早く温められるんです」(同)

 また、セブンイレブンでは容器内部の側面を、部分的に出っ張らせ、加熱効率を良くしているという。温め時間が短縮され、温めムラも解消されるのだ。「温める時間が短ければ麺も伸びにくく、より美味しく食べられるため、各社、容器の開発にも力を入れています」(同)

 記者も今、そのセブンイレブンの酸辣湯麺を食べているが、実にアッツアツ。一心不乱にハフハフと“コンビニ麺”をカキこんでいるが、他方、“冷たい麺”も見逃せない。

「各社、ざるそばがスゴいんです」と言うのは、飲食店コンサルタント。先述したように、“レンジ麺”のそばでも、セブンイレブンは、本格的な石臼挽きのそば粉を使用しているが、「ツルツル感を向上するため、麺に微細粉末の昆布を練り込んでいます」(前同)

 ファミリーマートも同じく石臼挽きのそば粉を使用。「一方、ローソンがこだわるのはツユ。枕崎産の鰹荒本節を使い、化学調味料は不使用です」(同)

 3種のざるそばを食べてみると、どれも、そばの香り、のど越し、味わいが抜群。これで300円ちょっとなんて、そば屋は商売上がったり!? 専門誌記者が言う。

「コンビニの冷たい麺の中でも、ざるそばは圧倒的な人気商品。“セブンイレブン4月売り上げ”での今季の人気ランキングは、1位ざるそば、2位冷し中華、3位冷しとろろそば。4位冷しぶっかけうどん、5位ミニ冷やし中華です」

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