続いて韓国軍。「近代兵器をそろえているため、北朝鮮軍に対しては圧倒的優位にありますが、北朝鮮軍は、旧式の火砲だけでソウルを火の海にできるため、戦術的には優位に立っていますね」(黒鉦氏)

 もうひとつ、兵器開発が韓国軍のアキレス腱。「国産のK-2戦車ではトラブルが続出。海軍では強襲揚陸艦『独島』をレーダーが不具合のまま就役させています。空軍でも、技術力不足から戦闘機の整備をする際に、他の機体からパーツを取り外して使用する“共食い”が横行しているようです」(前同)

 最後に、極東に緊張をもたらす元凶である北朝鮮軍の実力を見てみよう。「ソ連崩壊までは、ソ連、中国から兵器を安価に提供されていたため、戦闘機や戦車、潜水艦などの通常戦力においても、当時の韓国軍と互角に戦えるだけの能力を持っていました。しかし、冷戦終了後はこうした供与が途絶えたため、通常戦力の更新がほぼ不可能となったんです」(竹内氏)

 つまり現在は、陸海空軍とも、ひと昔前の装備で固められた“オンボロ軍隊”ということだ。「そこで北朝鮮は、核兵器や弾道ミサイル、ソウルを砲撃できるロケット弾や大口径砲といった、戦車や戦闘機などに比べて安価な兵器の開発に没頭していったんです。これらの分野の成長のみに“全張り”したため、極めていびつでありながらも、仮想敵国である韓国とアメリカに、大きな脅威を与えることができる軍隊になりましたね」(前同)

 核兵器や弾道ミサイルといった“剣呑な装備”の開発のみに邁進する北朝鮮。その命脈が今、尽きようとしている――。

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