しかしながら、すんなり原代表監督就任となるかどうかは、現在、微妙な風向きだという。なぜか? 「五輪代表監督ともなると、さまざまな人間の思惑が入り乱れますからね。たとえば、森喜朗東京五輪組織委員会会長が推していたのは、同郷・石川出身の松井秀喜監督案だったといいます」(全国紙記者)

 確かに、世界的なスーパースターだが、これまで松井氏は、何度となく巨人からの指導者就任の依頼を断っている。「国民栄誉賞受賞に尽力するなど、以前から松井を推してきた森会長は、なんとか松井に五輪監督を引き受けさせようと、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督を五輪代表総監督に据え、松井を監督としてその下に置く腹案も披露したそうです。しかし、さすがに長嶋さんを出すのは無理だと、その案は引っ込められたといいます」(スポーツジャーナリスト)

 中畑清前DeNA監督の名前も挙がったが、「本人は大喜びでやるでしょうが、実績がともなっていない」(事情通) 監督代行として挑んだアテネ五輪は3位。DeNA監督の4年間での6位、5位、5位、6位という成績も惨憺たるものだ。

「やはり、人気、実績の両面で突出した原監督が最適任、という結論にはなったんですが……」(前同) 今度は、原監督自身にも問題が噴出。

「まず、五輪まで3年の拘束は長い、と本人が漏らしているようなんです。“東京五輪日本代表監督”の肩書は重く、イベントやテレビ出演なども気軽には受けられなくなりますから。それと“あの事件”も気になるのかもしれないですね……」(スポーツ紙記者)

 “あの事件”とは、12年に『週刊文春』が報じた「原監督1億円恐喝事件」のこと。原監督が過去の女性問題に関し、元組員に対して1億円の口止め料を支払った、という同報道は、巨人が文藝春秋を名誉棄損で告訴する事態に発展。しかし、16年に最高裁は巨人の訴えを退け、文春の報道を真実だと認めた。

「金を渡した相手が元組員と原氏は知らなかった、と巨人側は主張し、NPB側もそれを受け入れた形です。反社会的勢力との関わりを禁じた野球協約に違反していない、という解釈ですが、日本代表監督となると、蒸し返される可能性も十分ある。熊﨑コミッショナーは元検事だし、慎重にならざるをえないと思います」(前出の全国紙記者)

 “原五輪監督”には、さらなるハードルもある。

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