メジャーリーグ・ベースボールの売上高は約95億ドル(約1兆260億円=2016年)と言われている。これを「100億ドル(約1兆1300億円)に乗せたい」とロブ・マンフレッドコミッショナーは広言している。

 100億ドルとは目のくらむような数字だが、上には上がいる。NFLはいち早く100億ドルの大台に乗せ、2016年の売上高は133億ドル(約1兆4360億円)に達したと見られている。

 マンフレッドに近いMLB関係者によれば、同コミッショナーの給料は月額で100万ドル(約1億1300万円)。MLBの売上高が100億ドルを超えれば、就任時の契約により「かなりの額のボーナスが約束されている」(前出の関係者)というのだ。売上高を伸ばし、NFLに迫るには、何をすべきか。マンフレッドが乗り出したのが試合時間の短縮である。昨季は約3時間。確かに、これは長い。

「MLBには調査部門があり、非公式にファンに“今後、何を望むか?”というアンケートをとった。一番多かったのが試合時間の短縮。プロバスケットボールのNBAは2時間14分です。そこでマンフレッドは“少しでも時間短縮に努力するように”との通達を出した。しかし現場の選手たちには“試合時間にまで口出ししないでくれ”と概ね不評でした」(同前)

 理解に苦しむのは、時短とともにストライクゾーンのルール変更を選手会側に提案したことだ。これまでの下限(ヒザ頭の下のくぼみまで)をヒザ頭の上まで2インチ(約5センチ)引き上げるとしている。

 従来よりもストライクゾーンが狭くなれば打者有利となり、逆に試合が長引くのではないか? 「ところがマンフレッドは打者が初球から打つようになり、スピーディーに試合が進むと踏んでいるようなのです」(同前)

 コミッショナー肝煎りの時短策、机上の空論に終わらなければいいが……。

本日の新着記事を読む