その経歴も筋金入り。「慶尚南道の巨済島で脱北避難民の5人兄弟の長男として生まれ、父は肉体労働、母は文氏を背負って卵売りの行商をする貧しい暮らしぶりでした。富裕層の子どもが多い学校に通い、世の中の不公平を目のあたりにします。そして、その反抗心から非行に走り、4回も停学処分を受けているんです」(韓国・共に民主党関係者)

 浪人の末に慶熙大法学部へ進学したものの、学生運動に没頭。大学4年のときには、運動を主導したとして身柄を拘束されている。「その後、徴兵された文氏は特殊部隊に配属されて表彰されるほどの優秀な成績を残します。除隊後、弁護士を目指すものの、“ソウルの春”と呼ばれるデモで逮捕され、獄中で司法試験合格の通知を受け取っているんです」(前同)

 まさに経歴は、不屈のプロレタリアート魂を持ち続ける活動家そのもの。そんな新大統領はまず、仕事始めに日本へ日韓合意の再交渉を求めてくるという。「日本の大使館や領事館前に従軍慰安婦象の設置を行う一部の韓国国民の支持を得やすいからです」(前出の韓国事情通)

 従軍慰安婦問題では日本政府が韓国側に10億円を拠出し、2015年の12月、この問題で両国政府が終止符を打つことで合意。ところが、文氏は選挙中から、この合意は「無効」だと主張していた。「韓国の新政権が再交渉を求めてきても、当然、日本政府は応じないでしょう。そうすると、韓国は一方的に合意の破棄を宣言するでしょうね」(前出の室谷氏)

 だが、それで終わるような相手ではない。「国連などの国際舞台で“再交渉に応じろ”と主張して日本を揺さぶるどころか、場合によっては韓国の日本公館が“例のデモ隊”に取り囲まれることになるかもしれません」(前同)

 例のデモ隊とは、朴槿恵前大統領の辞任を求めてソウル中心部を埋め尽くした“ロクソク・デモ”のこと。「文大統領が表向きはデモ隊に自制を求めつつ、裏で扇動するなんてこともありえます」(同)

 そうなれば、強気の安倍晋三首相としても黙ってはいられない。「日本政府が、韓国人の入国制限に踏み切る可能性はあります。中国人らと違い、韓国人の旅行者は日本国内でほとんど金を落とさない。一番遣ったのが東京駅の八重洲地下街で食べたカツ丼だという話もあるくらいですからね。入国制限されて困るのは韓国人のほうです」(同)

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