「トランプ政権が誕生し、マティス氏が国防長官に就任した際、最初に訪問した国が韓国でした。そのとき、マティス長官は韓国政府に“もし左派が政権を握るようなことになったら、在韓米軍を撤退させる”と伝えたそうです。在韓米軍が撤退したら、北朝鮮からの脅威は今よりもっと高まり、海外から韓国への投資は引き揚げられ、企業も脱出して韓国経済は崩壊してしまいます」(前出の高氏)

 それだけではない。「さらに文氏は、朝鮮半島有事の際の戦時作戦統制権を在韓米軍から韓国に早期返還させる方針です。これは事実上、米軍はいらないと言っているようなもの。とはいえ、韓国軍だけでは北朝鮮の攻撃に耐えられません。作戦権を米軍に与えないというのは、大変危険なんです」(前同)

 これこそ、北朝鮮の思うツボ。一連の政策転換に、トランプ米大統領がブチ切れ、在韓米軍の撤退を宣言する恐れまであるという。「実は、それこそが文政権が狙うシナリオなんです。廬武鉉時代にも、米国から駐留米軍の撤退をちらつかされ、結果、米国に従った経緯があります。左派政権としても、在韓米軍は必要だという韓国国内の世論に逆らえなかったからです。ところが、米国が一方的に撤退するという状況になれば、新大統領としても、“米国がそう言うんだから……”と、国民に言い訳できるわけです」(韓国の保守系団体関係者)

 そうした最悪の事態に発展しないまでも、新政権が米国と距離を置き始めると、朝鮮半島有事の際、米韓両国が協調して北朝鮮へ圧力をかけることが難しくなる。「仮に米国が韓国の協力を得られないままに対北攻撃に踏み切れば、韓国を基地や兵站、補給のために使うことすら難しくなります。そうなれば、在日米軍及び、日本国内の様々な諸施設が対北攻撃の最大中心拠点とならざるをえません。むろん、日本政府がそれに同意した場合の話ですが、日本が軍事拠点となれば、北朝鮮は、あらゆる攻撃を日本に仕掛けてくる可能性があります」(井野氏)

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