過ぎたるは及ばざるがごとしとは、まさにこのこと。もちろん予防的な水分補給は不可欠だが、あくまでも必要に応じてで十分だ。また、熱中症対策には、体を冷やすことも有効。家にいれば風呂場での水シャワーなどが手っ取り早いが、外にいるときも、少しゆったりめの服を着て風通しを良くする程度で、初夏には十分な効果がある。

 だが、冷やすべきなのはあくまでも体の表面だけだ。「冷たい飲み物やアイスクリームなどをたくさん食べたくもなりますが、内臓を冷やすのはよくありません。芯から冷えると、体のさまざまな機能が低下しますし、特に、腸を冷やし過ぎると下痢の原因になるばかりか、それが慢性化すると腸壁が鈍感になって異物や菌を排除する力を失い、より重い病気の原因にもなるのです」(消化器官の専門医)

 内臓の活性化に大切なのは、むしろ暑いときこそ温めることだという。「別にアツアツのものを食べろというわけではありません。体を芯から温める効果の高い生姜やにんにくを使った料理を積極的に食べ、喉が渇いたら、冷ました生姜湯などを飲みましょう。この時季は夜はまだ冷えますから、気温の高低で体調を崩さないためにも、体温のベースアップをしておくべきなのです」(前同)

 そうして初夏の前半戦を乗り切ると、5月末~7月には、ジメジメとした梅雨がやってくる。不快な湿気もさることながら、体調面では、関節痛やリウマチ、肩や首のコリや痛みが増すというのが悩ましい。「梅雨は、湿度が高く汗が蒸発しにくいので、余分な水分が体内にたまったり、冷房で冷やされたりすることによって痛みが出てくるのです」(理学療法士)

 特に、関節の炎症であるリウマチは、基本は安静にすることで症状の改善が見られるため、天気の悪さもあって、家にこもって静かに過ごしてしまいがち。しかし、これも大間違いだ。「運動不足で筋力が低下すると関節にさらに負担がかかるため、痛みが増すことも。むしろ、マッサージやストレッチ、または無理のない範囲で関節を回したりと、適度に動かしてほぐすことが大事です」(前同)

 また、この季節はカビやダニが繁殖し、不快なばかりか、吸い込んで肺炎、刺されて感染症になることも。「天気が悪いからとおっくうがらず、毎日、換気や掃除、枕カバーやシーツの交換をしましょう」(同)

 暑さに耐えかね、ついエアコンを強めるのもNGだ。「エアコンをつけっぱなしだと、芯から冷えてしまいます。梅雨どきの湿度は80%を超えてきますが、快眠に最適なのは、気温26度以下、湿度50~60%くらい。タイマーで稼働時間を調節するか、冷房ではなく除湿機能をお勧めします」(前出の医療ジャーナリスト)

  1. 1
  2. 2
  3. 3