このうえ、フォークという絶対的な変化球を持っているがゆえに、三振の山が築けるというわけだ。また、時速150キロを超える速球を投げながら、則本の投球が安定している秘密は、彼の「下半身の強さ」にあるという。

「田中や則本の自主トレに同行するコーチによれば、則本は軸足(右足)の柔らかさが飛び抜けているらしいんです。投球時、リリースを支える軸足の膝が体の内側に入り込む角度が、普通の投手は40度くらいであるのに対し、田中と則本は70度曲がるそうです。これが下半身の安定を生み出し、球速が出ても制球が乱れない理由となるんです」(同)

 さらに、もう一つ、重大な資質として、「メンタルの強さ」を挙げるのは、前出の橋本氏だ。「則本は、マウンド上で闘争心をむき出しにして、バッターにどんどん攻め込んでいきますよね。あの闘争心が重要なんです。投手としては決して大きくないですが、投げっぷりで、どんどん相手を追い込んでいくわけです」

 今春のWBCの大舞台では防御率9.82と、散々な成績だったが、当然、日本でこれだけの活躍を見せれば、メジャー球団も指をくわえて眺めているわけがない。「メジャーのスカウトの間でも、“野茂の再来だ”と則本の評価は急上昇しています。特に、スカウト陣はその奪三振率の高さに注目しているようで、リリーフでの起用を考えて、リスト入りさせているそうです」(前出のスポーツ紙記者)

 だが、則本はまだ4年目。メジャー行きは、早くてもダルビッシュや田中のように、7年目というのが通例となっている。「昨オフの契約更改で年俸2億円の複数年契約を結んだ則本ですが、その契約条項の中に、“19年オフにポスティングを認める”との一項目があると、球界関係者の間では噂されています。やはり、彼は7年目に、メジャー挑戦するのが既定路線となっているようですよ」(前同)

 先輩の田中は、チームを優勝に導いた投手という勲章を手にしてから海を渡った。則本も、今季絶好調の楽天を優勝させることができるか。その先に、メジャーで三振の山を築く未来が待っている。

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