「そもそも、この記事も、官邸が前々から把握していた情報をわざわざ読売新聞にリークして書かせた“前川潰し”だといわれています。最近の安倍政権は、こうやって正面から説明責任を果たさずウヤムヤにしようとしては、失敗して不信を買う場面が目立つ。ちょっと、カンが鈍ってきてますね」(前出の政治部記者)

 そんな悪印象の積み重ねにダメを押しそうなのが、安倍首相と懇意の元TBS記者・山口敬之氏が「女性に乱暴をし、その捜査を安倍政権に揉み消してもらったのではないか」という疑惑。詩織さんと名乗る被害女性が顔出しで記者会見に臨み、大きな話題にもなった。「真相はともかく、森友、加計と“お友達案件”が続いたあとだけに、“やりかねない”というイメージがついてしまった。失った女性票は、どれほどになるか」

 自民党の地方支部関係者はため息交じりにこう語るが、実際、「なんとか手を打たないと、いよいよ次の選挙は危ういんじゃないか」という声も、党内にはチラホラと出始めているという。「かといって、安倍首相に代わって党の顔になるような人はいませんからね。“ポスト安倍”の最右翼と言われ続けてウン年の石破茂元地方相は、世間の認知度はあれど、党内をまとめるだけの人望がありません。そこで囁かれていたのが、次の総選挙で勝っても差がわずかなら、小池百合子東京都知事を総裁に担ぎ出そうという仰天プランです」(前出の民放記者)

 党に造反する形で都知事選へ出馬し、当選後も自民党とバチバチ火花を散らしてきた小池氏だが、実は党籍は残ったままだった。「党内に小池氏を毛嫌いする人がいるのは事実ですが、野党暮らしの悲哀をまた味わうくらいならと、“最悪の場合は小池擁立もやむなし”という空気は常にあったんです」(前同)

 しかし、小池氏は6月1日、自民党に離党届を提出。腐れ縁を断ち切って、正式に都民ファーストの会の代表に就任した。自民党の処分は7月2日の都議会議員選挙以降に下される見込みではあるものの、これで擁立計画は完全に頓挫。しばらくはこのまま安倍政権で戦うしかないが、どうにも戦況が好転する目は見えない。いよいよ、進退窮まったかに見える自民党だが、そこは、さらなる“秘策”を練っていた。

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