今週末は、2017年上半期を締めくくる春のグランプリレース「宝塚記念」(阪神競馬場、芝2200メートル)が行われます。ファン投票によって出走馬を決める暮れのグランプリレース「有馬記念」から遅れること4年(60年)。当時は東西の交流がほとんどなく、関係者、ファンの間でも、“関東に負けるな”という意識が強かったといいますから、どれだけ関西のファンが喜んだことか。きっとスタンドの熱も、いつもよりは1~2度、高かったのではないでしょうか。

「宝塚記念」といえば、数あるG1レースの中でも、知っていそうで知らない話……トリビアがたくさんあります。
第1回のレースは距離1800メートルで行われた。
G1で唯一、一般公募で選ばれた専用のファンファーレがある。
3歳馬の負担重量は牡馬が53キロ。牝馬51キロ。

――えっ!? 3歳の、それも牝馬が挑戦できるの? キズナやオルフェーヴルを見て競馬ファンになったという方は、そう思うでしょうが、07年には日本ダービーを制した牝馬ウオッカが挑戦。51キロで出走し、当日は堂々の1番人気に推されました。結果は8着でしたが、果敢に挑戦してきたその思いに、ファンは多くの拍手を送りました。

 そして、もう一つ。今年、「大阪杯」がG1に昇格したことに伴い、同一年度に、「大阪杯」「天皇賞(春)」「宝塚記念」のすべてを勝つと、優勝賞金とは別に、報奨金(国内産馬は2億円)が交付されることになりました。今年、このチャンスがあるのは……そうです。ファン投票1位に選んでいただいた、僕とキタサンブラックだけに与えられたチャンスです。

 皆さんからいただいた数は、昨年の8万2121票を大きく上回る10万1621票。昨年の「有馬記念」を入れると、3回連続ファン投票第1位です。皆さん、本当にありがとうございました。結果を知らされたときは、その場で小さくジャンプしたくなるほど、うれしかったです(笑)。

 天皇賞(春)を連覇した後、リフレッシュ放牧していたキタサンブラックは、相変わらず元気いっぱい。清水久詞先生も、「ここまではイメージ通り。当日は、いい状態で臨めそう」と話しているので、僕はいつも通り、自信を持って乗るだけです。

――ここを勝てば。夢にまた一歩、近づくのは間違いありません。「大阪杯」に勝ち、優先出走権を手にした「凱旋門賞」のステップレースの一つ、アイルランドのG1「アイリッシュチャンピオンシップ」に登録したことも、もう皆さん、ご存じでしょう。

 でも今は、目の前に迫った「宝塚記念」のことだけを考えています。強い競馬を。キタサンブラックらしい競馬を。どんな展開になっても揺るがない王者の競馬を。オーナーの北島三郎さんの気持ちを激しく揺り動かすような競馬をしたいと思います。

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