また、山本農水相は、TPP(環太平洋経済連携協定)承認案などの国会審議をめぐり、「強行採決するかどうかは(自民党の)議院運営委員長が決める」と発言し、ヒンシュクを買った。「稲田防衛相は、国会答弁中に涙ぐんだり、自衛隊南スーダン派遣部隊の日報隠ぺい問題や、森友学園との関係が浮上。先日もまた問題発言をするなど、安倍首相が“初の女性首相”候補として目をかけていたものの、もうかばいきれません」(自民党関係者)

 こうした“問題大臣”が一掃され、橋下、小泉両氏が登用されるとなると、「内閣のイメージは刷新されます。これで安倍首相は支持率回復に努め、党内の“安倍降ろし”の動きを封殺。来年秋の自民党総裁選で3選を果たし、念願の憲法改正を実現しようとしているんです」(自民党内の非主流派議員)

 そんな安倍首相が目下、橋下、小泉両氏に続く“第3の男”として注目しているのが、谷垣禎一前自民党幹事長だという。谷垣氏はサイクリング中の転倒事故で頸髄損傷の重傷を負い、手術を受けて現在リハビリ中だが、「一時は、“政界復帰は絶望的”と言われていたものの、入院して1年近くたち、順調に回復。下肢に麻痺が残り、車椅子生活を余儀なくされてはいますが、発言はしっかりしています」(前出の自民党関係者)

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏も、こう続ける。「谷垣氏は自民党が下野したときの総裁。安倍首相は谷垣氏に敬意を払っています。谷垣氏なら、難しい問題が持ち上がってもソフトに対応してもらえるという期待感もあるんです。無任所の副総理としてなら、車椅子でも十分政務をこなせると考えているんではないでしょうか」

 つまり、閣議などで麻生副総理兼財務相が座る位置に、車椅子姿の谷垣氏が陣取ることになる。「3年後にはパラリンピックが東京で開催されます。バリアフリーに積極的な政権であることを国民に印象づける狙いもあると思われます」(前同)

 そうなると、問題となるのは麻生氏の処遇だ。「おそらく財務相専任になるでしょう」(同)

 本誌既報の通り、永田町では「次の内閣で麻生氏が閣外に出る」という噂が根強かった。「麻生氏が大宏池会構想を進め、麻生派を最大派閥に導き、安倍政権を揺さぶりにかかるとみられていたからです。しかし、麻生氏を外に出すと何をしでかすか分からない。ならば、閣内で飼っていたほうが得策だと官邸サイドが考え直したようです」(政治部記者)

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