もう一人の大物、菅義偉官房長官も、自民党幹事長へ転出するという噂があった。菅氏のたっての希望といわれていたからだ。「そうなると、二階俊博幹事長を副総裁などに祭り上げる“ドミノ人事”が必要となり、ややこしい問題が生じてくるんです。というのも、麻生氏が副総理のポストを手放す見返りに、麻生派入りした甘利明元経済再生担当相の幹事長就任をゴリ押しする可能性があるからです」(前同)

 甘利氏といえば、都市再生機構(UR)に対する口利きを依頼したとされ、刑事告発(不起訴処分)によって大臣を辞任している。「イメージ刷新を図りたい安倍政権が、“スキャンダル大臣”を起用できるはずがありません」(同)

 この他、岸田文雄外相の処遇も注目されている。「3選を狙う安倍首相は改造人事の全閣僚に、次の総裁選で協力するかどうか“踏み絵”を強要してくるでしょう。岸田氏が外相に留任するなら、総裁選への出馬を諦めたということ。もし、安倍首相の入閣要請を断ったら、総裁選に出馬して、総理総裁の椅子を安倍首相と争うと宣言したことになります」(官邸担当の全国紙政治部記者)

 一方、女性閣僚としては橋本聖子参院議員の名が挙がっている。「稲田氏と高市早苗総務相はセットで閣僚や党役員に登用されてきましたからね。女性同士、嫉妬の火種を残さないように、2人同時に閣外へ出されるはず。そうなると、丸川珠代五輪担当相は留任させるとしても、稲田・高市の両名がいなくなりますから、もう一人、イメージ刷新につながる女性閣僚が欲しいところ。そこで元スケートと自転車の選手で五輪メダリストの橋本氏に白羽の矢が立っています。彼女なら、3年後の東京五輪シフトとして申し分ありません」(前同)

 これまで森友、加計学園問題で何かというと「印象操作」を口にし、野党の追及をかわしてきた安倍首相だが、「知名度優先の組閣で国民の印象を操作し、疑惑の目をはぐらかそうとしている」(野党議員)という。

 前出の角谷氏も、こう苦言を呈す。「高支持率を維持してきた安倍政権が一転して人気が落ちてきたからといって、橋下氏や小泉氏に頼るというのはカッコ悪すぎます。真剣に日本の将来を思うなら、実務派といわれる人たちを登用すべき。ただ同時に、そうなると地味な内閣になってしまいます。安倍首相にとって、痛しかゆしというところでしょう」

 まさに、国民不在の内閣改造。印象操作で巻き返すのか、それとも、安倍首相のギブアップが先か――。

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