投手では牧田、千賀滉大、則本昂大など好調を維持する選手もいたが、打撃陣は深刻だ。「日本ハムの中田翔、DeNAの筒香嘉智、ヤクルトの山田哲人などの強打者が、軒並み絶不調。3月にピークを持ってきたことの弊害ですね。メジャー球団がWBCに選手を派遣したがらないのも頷けます」(前同)

 日本ハム、DeNA、ヤクルト。今季伸び悩む3球団の出遅れは、多分に主力のWBC症候群のせいと言っていいのかもしれない。「例年、大して良くないので忘れていましたが、WBCで打ちまくり“覚醒した”といわれた巨人の小林も、今はさっぱりですね……彼もそうなのかも」(同)

 筒香や山田はここにきて少しは打ち始めたが、それにしても本来の彼らの実力から考えれば、まだまだ。「特に、筒香は来オフのメジャー挑戦を考えているといいますから、ここが正念場。DeNAはロペスがよく打ち、宮崎敏郎も規定打席に達したとたん首位打者に躍り出るなど、他の打撃陣が踏ん張っているものの、“あと1本”が足りずに負けることが多いですからね」(同)

 悩み多きシーズンを送る選手も多い中、パ・リーグでは楽天とソフトバンク、セでは広島と阪神が首位争いを繰り広げている。「3年連続で交流戦1位となったソフトバンクの選手層の厚さは、尋常ではありません。和田毅、千賀、武田翔太といったエース級、内川聖一、デスパイネら強打者が故障で戦線を離れても、他の選手がそれを補って余りある結果を残すんですから」(前出のデスク)

 そのソフトバンクもなかなか尻尾をつかめないのが、6月22日現在、唯一、パの全カードで勝ち越す楽天。茂木栄五郎や岡島豪郎らが好調で、ウィーラーやペゲーロなど外国人選手もマッチしているが、やはり、8試合連続二桁奪三振の日本記録を作った則本の活躍が光る。「彼のフォークは目の前までまっすぐ来て、手元で少しだけ変化する。ストレートと思って振ったら最後の最後にバット1本分だけ落ちるので、三振が取れるんです」(前出の専門誌記者)

 この則本はドラフトの19番目、そして首位争いを演じるソフトバンクのエース・千賀は育成出身だ。「両チームの好調は、スカウトの目利きがいかに大事かの証拠。後半戦のカギは、選手層が厚いソフトバンクの“物量作戦”に、少数精鋭の楽天がどこまで踏ん張れるかですね」(前同)

 スカウトの慧眼といえば、交流戦で一軍初打席ホームランを放ち、その後、日ハム戦で2発と打ちまくった広島のバティスタもそうだ。「“あんな選手、どこから見つけてきたんだ!?”と、誰もが驚きましたよ。育成出身で、さらに今季からは異例の6年契約。カープは投手だった鈴木誠也を野手にコンバートするなど生え抜きを育てるのも上手ですが、スカウトも素晴らしいと、つくづく感服しました」(NPB関係者)

 その広島は相変わらず、打線が絶好調。67試合(以下同)で70本塁打、総得点347は2位以下を大きく引き離しており、今年も“神ってる”雰囲気だ。

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