小結・嘉風インタビュー「人になんと言われても、目標は大関昇進」

 先場所初日、3場所連続優勝を目指す横綱に圧勝。9度目の三賞に輝いた“相撲職人”に、大一番の舞台裏と今場所への決意を聞いた!

 大相撲夏場所初日、結びの一番。両国国技館に皇太子ご夫妻が観戦に訪れたこの日、最大の注目は稀勢の里-嘉風戦だった。新横綱として迎えた春場所13日目、稀勢の里は日馬富士戦で寄り倒された際に左肩を負傷するも、その後も強行出場。千秋楽は、照ノ富士との優勝決定戦を制し、奇跡の逆転優勝を果たした。

 だが、ケガの代償は大きく、春巡業や横綱審議委員会稽古総見を休み、ケガの回復に努めることに。夏場所初日、稀勢の里はどんな相撲を見せるのかが注目された。結果は、右からの厳しいおっつけで、稀勢の里の左差しを許さなかった小結・嘉風が、一方的に押し出して勝利。館内が騒然とする中、嘉風は54本の懸賞金を受け取り、満足気な表情で花道を下がっていった。

「横綱に勝ったんだから、100点満点でしょう。横綱に左を使わせないことと、胸を合わせないことを心がけて相撲を取りました」と、支度部屋で振り返った嘉風。さらに、4日目には横綱・鶴竜を撃破するなど、7場所ぶりに復帰した三役の座で8勝を挙げ、3回目の技能賞を受賞した。そんな35歳のベテランに、直撃インタビュー!

――夏場所の稀勢の里戦は印象に残る一番でした。“懸賞金で(母の日の)カーネーションを500本買って帰ります”と、おっしゃっていましたよね?

嘉風 初日(5月8日)の前日、妻に「明日は母の日よね」ってプレッシャーをかけられていたんですよ。「プレゼントは懸賞金でいいかな?」って言ったら、「カーネーションがいい」って……。おかげさまで懸賞金をたくさんいただいたので、それ相応のカーネーションをプレゼントできました。

――奥様は感激されたことでしょうね。さて、その稀勢の里戦は、左を使わせない、胸を合わせないという嘉風関の作戦が大成功。

嘉風 まあ、そうなんですけど、これには伏線があるんですよ。春場所の10日目、(全勝の)横綱(稀勢の里)と当たったときに、自分の力をすべて出すことができたんです。結果的には敗れてしまったんですが、勝ち負けよりも、全力を出し切れたことがうれしかったし、精神的な成長を感じたんです。でも、「出し切れた」だけじゃ、白星には結びつかない。次に対戦するときは、稀勢の里関が嫌がるような相撲を取ろうと、心に決めたんです。

 でも、その後、横綱がケガをして巡業も休場。ようやく稽古できたのが、夏場所前の二所ノ関一門の連合稽古のタイミングでした。横綱の左手がどれだけ使えるのかなど、調子を計るチャンスだったのですが、僕はこのとき、稽古場でふくらはぎの肉離れを起こしてしまって、肝心の横綱との稽古は1番しかできなかった。つまり、回復具合がつかめないまま、夏場所初日に対戦することになったんです。

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