――さて、名古屋場所は番付を半枚上げて、東小結での戦いとなります。

嘉風 西小結だった先場所初日、東横綱の稀勢の里関と当たりましたが、名古屋場所初日も、稀勢の里関との対戦が組まれる確率が高いと思うんです。初日は誰でも緊張しますが、横綱は先場所、途中休場していますよね? 休場明けの初日はさらに緊張すると思いますし、3~4日と時間がたって、自分のペースをつかんでしまわないうちに、初日に対戦したいところですね。そうなったとしたら、皆さんの期待を裏切らない戦いをお見せしますよ!

 番付の目標としては、大関昇進です。「その年で?」と笑われるかもしれないけれど、人になんと言われてもかまわない。昨年、関脇で勝ち越したとき、「大関を目指す」と言ったけど、すみません、あれは勢いでした(笑)。その後、7場所平幕に落ちている間に経験したことが、先場所の8勝につながった。だから、これまでで一番重い8つの勝ち星だと思うんですよ。大関を貪欲に狙いつつ、可能なら40歳や、45歳まででも現役を続けていきたいですね。でも、つまらない相撲しか取れないようになったら、そのときはスパッと身を引きます。いつも「この一番で終わってもいい」という覚悟で、僕は土俵に上がっていますから。

 最後に、名古屋場所への思いを聞いたところ、「宿舎のある瀬戸市の鰻屋さんで食べるのが楽しみ」と、お茶目にかわした嘉風。また、9度目の三賞は「9は数字が悪いので早く10度目の賞を獲りたい」とも。嘉風の読み通り、初日の稀勢の里戦はあるのか。大関獲りにも期待したい。

取材・文/武田葉月(ノンフィクションライター)

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