だが、広岡氏たちも、別に監督や選手が憎くて文句を言っているわけではない。「広岡さんたちが厳しいことを言っているのは、少しでも巨人に頑張ってほしいからだと思いますよ」(巨人OBで野球解説者の“豆タンク”こと黒江透修氏)

 むしろ、それより深刻な問題が、現在の巨人ではささやかれている。読売の系列紙「スポーツ報知」の記事が監督の采配を左右しているという疑惑だ。6連敗を喫した翌日の6月1日、スポーツ報知の一面には、次のような見出しが躍った。「由伸6連敗打開クルーズを使え!」 得点力アップのために、イースタンで.313、8本塁打と好調なクルーズを昇格させ、カミネロを10日間登録抹消するべし――という内容の記事だ。

 この記事が出た翌日の6月2日、由伸監督が動いた。本当に守護神カミネロを外し、クルーズを一軍昇格。即5番に据えたのである。しかし、この起死回生策は、大きな失敗に終わる。「クルーズは2度のチャンスに凡退して足を引っ張り、最終的に5タコ。さらにカミネロの不在が響いて救援陣が炎上し、連敗をさらに重ねてしまったんです。真に受けた由伸監督が悪いといえば悪いんですが、巨人というチームの外野の声の大きさを思い知らされた気がします」(系列紙以外のスポーツ紙記者)

 しかし、ここで疑問なのは、はたしてこのオーダーが「本当に由伸監督の決断だったのか?」ということ。「ご存じのように、ウチのすべての権力を握っているのは、“ナベツネ”こと渡邉恒雄読売グループ本社代表取締役主筆。実は、例の記事は、ナベツネさんの“伝令”だったともっぱらなんです」(巨人軍関係者)

 長い巨人軍の歴史に君臨し続け、「たかが選手」「(原監督の更迭を)読売グループの人事異動」などの迷言を残してきたナベツネ氏。「現役を続ける気だった由伸が強引に引退させられて監督に就任したのも、13連敗後のGM交代も、ナベツネさんの意向。この最大の“老害”に比べれば、OBの文句などかわいいものです。OBたちに大間違いな点があるとしたら、選手、監督、フロントには苦言を呈しても、誰一人“ナベツネ批判”をしないことですが……まあ、難しいんでしょうね」(スポーツ紙デスク)

 どん底に落ちた今、巨人はここから這い上がるしかない。選手たちには、その活躍で雑音を封じ込めてほしいものだ。

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