宝塚記念で上半期の日程を終えたが、この時点でリーディング・トレーナーのトップに立ったのは栗東の池江厩舎だった。2位の角居厩舎に2勝差をつける34勝はかなりのハイラップだが、折り返し点の1週目にも2勝を上積みし、後半戦も好スタートを切っている。

 今年の池江厩舎は勝ち星だけではなく、中身も非常に濃い。アルアインで皐月賞、サトノアラジンで安田記念とG1を2勝。これを含む重賞勝ちは7を数える。それも勝ち馬がすべて異なるから改めて“厩舎力”の凄さを感じさせる。

 池江厩舎の開業は04年。これまでに積み上げた重賞勝ちは69まで伸ばしているが、重賞を勝っていない競馬場がまだ3つある。福島、新潟、そして函館だ。全国制覇に向けて、今秋は函館がターゲットだ。函館記念に送り込むのは、ステイゴールド産駒のステイインシアトル。今年6歳の牡馬で、キャリアはまだ10戦。体質が弱く、これまで休み休みの出走で3~4歳時には1年7か月もの長期休養もあった。それでいて[5・2・0・3]の成績を残している。

 大事に使ってきたことが成長も促したのか、今季はオープン昇級2戦目で重賞タイトルにも手が届いた。6月3日に行われた鳴尾記念はスムーズにハナを奪っての逃げ切り。首差押さえ込んだのは重賞3勝馬のスマートレイアー。スローで流れた2000メートル戦とはいえ、後半1000メートルは57秒8。ラスト2Fも11秒0-11秒6の速い上がりだから完勝といっていい。

 前走の重賞勝ちで思い当たるのは調教メニューの変化だ。足元の関係で、それまでは坂路主体の調教。それが前走はコース追いを加えていた。いわゆる攻め込める調整で、馬体も8キロもシェイプアップしていた。足元が固まってきた証拠であり、競走馬として本格化してきたともいえる。

 この中間も攻め熱心だ。栗東で仕上げてからの函館入りで、2週前追い切りはCWコースで3頭併せと意欲的。6F82秒4-11秒7を楽な手ごたえでマークし、併走2頭を2馬身、4馬身も千切った。鞍上は[4・2・0・1]の武豊。重賞連覇の目は十分だろう。

 ライバル一番手は巴賞で復活Vを飾ったディープインパクト産駒サトノアレス。中1週でも使ってくるなら怖い存在だ。

 穴で要注意はレッドソロモン。今季の2戦は13、10着だが、この中間は動きが活発化。2週前追い切りではCWコースで4F51秒4の速い時計が出た。ベストの2000メートル戦で、舞台は1戦1勝の洋芝・函館だ。好位から持久力ある走りが期待できる。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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